||愛の儀式


朝おきると、隣に雅治がいた。

それは今までもずっとそうだったことで、私たちにとってはそれが当り前だった。

「雅治・・・おきてる?」
「おん。おはよ」
「うん、おはよう」

声をかけると返答がきちんと返って来るのが嬉しくて、私は甘えるように彼の腕に両手をまわした。彼もまた嬉しそうに笑って、私を抱き締めてくれる。今日は土曜で、私も雅治もお休みだから、家でゆっくりと過ごす予定だった。最近は夜もすれ違いが多かったから、こうして2人でのんびりとするのは本当に久しぶりだ。

「綾乃」
「んー・・・、ぅ」

顔をあげれば、雅治に口付けられた。それから角度を変えて何度かキスを繰り返す。求めるように舌を伸ばせば、すぐにそれが絡め取られた。

「ふ、ぅん・・・、」

甘い、濃厚なキス。舌を吸われ、歯列を割るようになぞられ、ふるりと身体が震えた。セックスはおろかキスもしばらくしていなかったから、久しぶりの感覚に、いつもより敏感に身体が反応を示していた。

「可愛い・・・」
「ま、さはる・・・?」

自分のまつ毛に彼の吐息がかかる。見上げれば、ほうとしたようにこちらを見返して、小さく微笑んでくれた。

「な、綾乃。今からしてもええか?」
「・・・んー。・・・雅治が、したいなら」
「さよか」

クスクスと雅治が笑った。私も小さく微笑んで、彼の首元に絡みつく。彼がまた私の唇を啄ばんで、それと同時に大きな手が私の胸元へ触れた。

「ぅ、んん・・・っ」

ブラはつけていない。薄い下着と、パジャマしか身に着けていない無防備な身体。雅治がそれらの下から冷えた手を潜り込ませ、直に胸を揉む。時々掠めるように指が頂点へと伸び、その度に焦れた感覚が身を揺らした。

「んぅ・・・ふっぅ・・・」

雅治の親指が、私の頂点を押す。それから摘んだり引っ掻いたりと、弄ぶように愛撫が続いた。その時点で私の秘所はすでに反応を示し始めていて、触れて欲しさに両足を雅治の身体に絡ませた。雅治は重ねていた唇を離し、優しく笑んだ。

「ま、さはる・・・ぅ、」
「わかっとるよ」

彼の手が、腹部のラインを通って下へと潜る。まずはパジャマ越しに指が秘所をなぞり、びくり、と私が震えるのを見て楽しそうな表情を見せた。ぐちゅ、と指を押し込むように入口を押す。下着が押し付けられ、べったりとした感触が肌に触れた。それが気持ち悪くて、逃げるように腰を動かせば、雅治に抱き寄せられた。彼が私のズボンをおろし、下着越しにまた指を触れる。円を描くようにゆっくりと、攻め立てるように指を押し付けて。

「・・・ぁっ、ぅん・・・・・・っ」

焦れた快感。自然と腰がくねった。雅治の胸元に頭を押し付け、彼の服のすそをキツく握り締める。雅治は私の様子にクスリと小さく笑んで、指を下着の中へもぐりこませた。

「っ・・・さ、はる・・・ぁっ、」
「なんじゃ?」
「もっ、と・・・」
「ん」

自分の腕の中で乱れる様子が楽しいのか、雅治は私の要求どおりに指の動きを激しくした。入口のあたりをなぞり、内壁を割って入るようにナカへと侵入する。彼の細長い指が体内へ差し入れられたのを感じ、私はその羞恥と快感に大きく身体を震わせた。ぐちょり、という水音が鼓膜を刺激する。

「っ、はぁ・・・、ぁ・・・っ」

私の息遣いだけが部屋に響いた。指がうごめく度、抜き差しされる度に声が漏れる。本数が2本に増やされると、声はより甲高く、悦楽的に変わった。

「も、限界・・・っ、まさはる・・・」
「・・・俺も、そろそろ限界じゃ」

そう彼が入った瞬間、何の前触れもなく2本の指が引き抜かれた。突然の虚無感、酷い開放感に全身の力が抜ける。しかしすぐに、明らかに大きすぎるモノが新たに入口へと宛がわれた。

「せま・・・」
「ひぁ、っあ、ぁあっ、あっ・・・!」

ぐちゅ、ぐちゃ、と卑猥な水音が鳴った。互いの肌がこすれ合って、絶え間なくあふれ出す恥蜜がそれらを濡らす。大好きな人とつながっているという事実が、感覚が、快感が、私の興奮を必要以上とまでに煽った。

「まっ、さはるぅ・・・!あぁっ、ぁっ」
「綾乃・・・ッ」

名前を呼んで、抱き締めあって。そうして彼のモノが最奥へ届いたと思った瞬間、弾けるように激しい律動が始まった。がくがくと身体が揺れる。押し寄せる快感に頭はもう理性を飛ばしていた。動き始めてすぐに私は頂点へ上り詰め、きゅぅ、と秘所を締め付けてしまったのが自分でもわかった。しかし彼はそんなことお構いなしのように腰を振り続ける。

「ぁっ、はっ、ぁあっ」

焦れた前戯で敏感になった身体は、ダイレクトな快感に酷く従順だった。唇の隙間から唾液がこぼれる。遊ばれたばかりの胸が大きく揺れ、されるがままに厭らしい喘ぎ声が漏れでた。しかしその恥ずかしいほどに淫らな様が、余計に雅治の感情を煽ったようだった。

「ぁっ、あっ、ぁあああっ、」

一瞬、雅治が眉を顰める。そしてその直後、どん、という重たい衝撃と共に白濁液が中に放たれ、一気に雅治のそれが引き抜かれた。そして同時に私も再び達し、支えを失った身体ががくりとベッドに落ちる。荒っぽい息遣いが室内に響いて、雅治が何かを言うたび、それが腰にじわりと響いた。

「綾乃」
「な、に?」
「・・・愛しとぉ」
「・・・私も」

確かめ合うように見詰め合って、唇を重ねて、私たちは小さく微笑んだ。雅治が私の隣に倒れこむ。絡まった指先を握り締めて、そっと目を閉じた。瞼に柔らかく落とされたキスに、私は目を閉じたまま嬉しそうに微笑んだ。


の儀式


やがて聞こえた穏やかな寝息に、雅治は愛おしげにその身体を抱き締めた。
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まずは遅くなってしまってすみません、ようやく完成しました!
リクエストありがとうございました!

2012/9/23 repiero (No,69)


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