||I love you!!
「あっ、もしもし景吾ー? 私だけど、いま景吾の家の前に立ってるから早く来てね! ……あれ、なんかメイドさん出て来た。私不審人物だと思われてないよね?・・・え、景吾が呼んだの?さすが準備早いね、あ、そっか景吾の家って監視カメラいっぱいあるんだっけ? 玄関にもあったんだ。・・・あっ、あれか! いえーい景吾見てるー? ・・・馬鹿なことやってんじゃねぇって、ちょっとそれは酷いんじゃない?・・・ちょっと待てよ、じゃあ私がさっき笑顔の練習してたのも見てたの!? ・・・え、見てないの? 言わなきゃ良かった!! ・・・馬鹿じゃないかって? そんなのとっくに知ってるでしょ、もー。・・・わ、なんかメイドさんにお菓子もらっちゃった。食べて良いの? ほんと!? ありがとう! ・・・う゛っ、なにこれ苦っ、ビターチョコレートだ・・・・・・。ちょっと景吾、名に笑ってるの? 絶対わざとでしょ! 当然・・・って、そこまで偉そうに言わなくても・・・ってか景吾いつまで待たせるの。俺様を待てるんだから喜べ? なにその俺様な態度ー。毎朝迎えにきてあげてる恋人になんてこというのさ! 別に俺が迎え行ってやるのに、って言われても、毎朝高級車が家の前にとまってたら近所の人達みんなびっくりしちゃうよ。でさぁ、ほんとにまだ? 待ちくたび・・・え、もういるの? えーどこどこ? ・・・後ろ? って、え、」
「・・・バーカ。気付くのが遅ぇんだよ。アーン?」
「けっ、景吾っ!!?」
どたーん。
そんな効果音が似合いそうな転び方で、盛大に綾乃が尻餅をついた。それを見て俺は口角を持ち上げてニヤリ。携帯を切ると、綾乃は俺が手を貸すより先に起き上がって同じく携帯を切った。
「け、景吾・・・! びっくりするから背後にこっそり立たないでよっ!」
「アーン?俺様に気付かねぇお前が悪い」
「なにそれ!わざわざ忍び足で近寄ってくる景吾が悪いでしょー!」
「俺様がわざわざ忍ぶようなことするかよ。普通に堂々と歩いてきたぜ?」
「まじで」
「まじだ」
笑んでやると、綾乃はがっくりと肩を落としてうなだれた。そんな彼女の頭を撫ぜ、その白い手を掴む。困ったようにこちらを見上げる表情は、ほんの少し赤くなっていた。
「こんなに早く迎えに来たってことは、今日は歩いて行きてぇんだろ?」
「・・・・・・うん」
「なら早く行くぞ。遅刻してぇのか?」
「わ、わかってるよっ」
顔は赤くなったまま、彼女は少しむすっとしたように頬を膨らませた。相変わらず扱いやすいというか、わかりやすいやつだ。
「・・・景吾って意地悪だよねー」
「アーン?誰がだ」
「だから景吾が・・・って嘘ですごめんなさい。だってさ、景吾って私のことすぐ馬鹿にするっていうかからかうっていうか、とにかくいじめるじゃん!」
「俺がいついじめた」
「さっき」
「覚えてねぇな」
そう言って肩を竦めた俺に、綾乃がますます不満げに頬を膨らませた。その頬を指で潰すと、ぷひょ、という間抜けな音をたてて空気が抜けた。
「ちょ、け、景吾っ!!」
慌てて綾乃が抗議してくるが、俺から見ればただ喚いているようにしか見えない。肩を震わせて堪えるように笑う俺に、綾乃は顔を真っ赤にして喚いた。そしてとうとう怒ったのか、俺の方から顔をそむけてしまった。
「綾乃、怒ったのか?」
「・・・・・・」
「そのわりにちゃんと手は繋いでおくんだな」
「・・・! けっ・・・」
また怒りを露にしようとした綾乃の声を遮って、無理矢理唇を重ねた。見開かれた彼女の大きな瞳が俺を捉えて離さない。だんだんとその頬が赤く染まってきて、それを見ながら俺は不敵に笑みを浮かべた。やがて唇を離せば、彼女がケホケホと咳き込んだ。
「・・・大丈夫か?」
「だっ、大丈夫かじゃ、ないでしょ!? いっ、いっ、いきなり、何するの!?」
「アーン?うるせぇな。いちいちキスの許可とってたらムードもへったくれもねぇだろ」
「だ、だからって・・・」
最後の方はどんどんとしり込みしてしまって、声にならなかった。俺はそんな彼女の様子にニヤリと笑みを浮かべる。キスをしている間も、キスをし終わった後もつながれたままの手が、酷く熱く感じられた。
「ほら、早く行くぞ」
「ちょ、逃げる気!?」
「なんだ、歩きたくないならお姫様だっこしてやっても・・・」
「はぁ!?あ、歩くってば!自分で!」
「アーン?つまらねぇやつだ」
綾乃は俺の言葉に真っ赤になって俯いてしまった。本当に可愛い。
「・・・っと、綾乃、ほんとに時間がねぇ。急ぐぞ」
「は?ちょ、ちょっと待っ・・・」
抵抗しようとする隙も与えず、彼女を横抱きにする。慌てた様子の彼女にニヤリと笑って、そのまま通学路を走り出すのだった。
I lo
ve
you!!
(おい、あんまり暴れるな。落とすぜ?)(・・・むしろ落として・・・・・・)
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遅くなってしまいすみません……!
リクエストありがとうございました!
2012/9/15 repiero (No,68)