||Most!


お昼休みの教室で、俺は彼女である綾乃と一緒に話していた。話題は「今一番欲しい物」について。もうすぐ綾乃の誕生日だなーなんて言っていたら、いつの間にかその話になっていた。暗に、俺にプレゼントをねだっているのかもしれない。

「ブン太は何が欲しい?」
「俺かよぃ?そうだな・・・」

うぅん、としばらく考えた後、満面の笑みで口を開いた。

「エロ本」
「は?」
「あと裸エプロンなお姉さん」
「あ゛?」
「・・・じゃあナイスバディなお姉さん」

思春期真っ盛りな回答ばかりが並び、綾乃は口をひくつかせながら呆れたように溜息をついた。怒られるかとも思ったが、案外何も言われなかった。

「なんでそんなんばっかなの?他のはないの?」
「ねぇ。それを言うなら、お前はどうなんだよぃ?」
「私?」

あごに手を当てて少しの間考えるような素振りをしてから、綾乃は閃いたとばかりに顔を輝かせた。

「ゲーム!」
「・・・へぇ」
「あとゲーム!」
「へー」
「あとは・・・ゲーム!!」
「そればっかじゃねぇか!」

どこのゲーマーだよ、と突っ込みを入れれば綾乃は頬を膨らませた。あーはいはい可愛い可愛い。お前そういうキャラじゃねぇだろぃ。

「そんなにゲームが欲しいなら俺の貸してやるよぃ」
「えー、別にエロゲは興味ないし」
「彼女にんなもん貸すかよぃ! RPGだ、RPG」
「RPGつまんない。乙ゲーが良いよ」

乙ゲー?・・・あぁ。

「お前もけっきょくそういうのが欲しいんじゃねぇか」
「そういうのってどういう事よ」
「どういう事って・・・そういうことだよ」
「えぇー、わかんないし」
「わかれよ」

彼女だろぃ?と言えば意味わかんないし、と返された。確かに自分でも意味わかんねぇな。っつうか、思春期男子に「欲しい物」なんて聞くのがそもそもの間違いだと思うんだよな。エロゲとかエロ本とかAVとかが欲しいに決まってるじゃねぇか。健全な男児も勿論たくさんいるけどよぃ。寧ろ俺の方が少数派か?あれ?

「ねー、もっと他の欲しい物ないのー?」
「だからねぇって。エロゲとかなら欲し「そういうの抜きで」・・・・・・」
「じゃあ俺は何を欲しがれば良いんだよぃ?」
「知るか。『綾乃』とかそれくらい言ってみせろ」
「きっしょ」
「うるさい!」

綾乃は少し顔を赤くして俺の頭を叩いた。痛ぇな。乙ゲーのやりすぎだっつの。

「大体、そんな事言ったら俺が綾乃の事好きみたいじゃねぇかよぃ」
「好きじゃねーのかよ彼氏だろテメー」
「えっ!?」
「うっわ。・・・もう知らん」

あ、やべぇ。

「・・・・・・おーい、綾乃?」

反応ナシ。完全に拗ねさせてしまったようだ。少し悪ふざけが過ぎた。

「・・・悪かったって。おーい。綾乃?」
「・・・・・・」
「ったく、仕方ねぇな・・・綾乃!」

尚も反応の無い彼女の顔を無理矢理自分の方へ向かせ、荒く口付けた。瞬間、彼女の瞳が大きく見開かれる。みるみると赤くなっていく頬が可愛い。あーあ、俺こういうキャラじゃねぇんだけどな。

「これで満足かよぃ?」

唇を離してすぐ、そう言った。綾乃はぱくぱくと口を動かすだけで、それはちゃんと声にならない。

「俺がお前の事嫌いなわけねーだろぃ」
「ぁ・・・」

そう言って、俺はにこりと笑った。


Most!


(だって、お菓子くれるしな!)
(そこかよ!)
――――――――――――
リクエストありがとうございました!

2012/7/17 repiero (No,52)


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