||暗視装置 搭載眼鏡
「暗い」
無表情に呟いた。どうして夜ってこうも暗いんだ。今日はお祭りだから比較的明るいけど、目の悪い私にとってはそんなもの関係ないわけで。
「見えんし」
一寸先は闇とはまさにこの事だね!(違う)
いやでも、ほんとに見えない。手が届くような距離ですらギリギリ見える程度なんだから、ちょっと私視力ヤバい?眼鏡そろそろ変えようかしら。
「えー、あー・・・・・・うん」
とりあえず携帯。時間確認して、ライトで照らしながら進もう。
「・・・やべ、あと5分じゃないか」
ここがどこかもわからないのに、集合時間までもう時間がない。走るしかないわけだけど、やっぱりライトがあっても見にくい。っていうかジャッカル待ってるよね絶対。せめて集合時間までにはつかないと。
「・・・おぉう、ここはどこだ」
とりあえずライトで辺りをぐるっと照らしてみるが、よくわからない。でもたぶんここは集合場所の近くにある公園だ。たぶんね。
って事は、ここの道を右か。よっしゃ、待ってろ愛しの黒卵・・・じゃなくてジャッカル!!
「ジャーッカルーー」
「・・・お、来たか。集合時間スレスレだぜ、珍しいな」
「いや、暗くて全く見えないのよね」
「そうか、大変だな。・・・で、お前はどこに向かって話してるんだ?」
「・・・え、これジャッカルじゃないの?」
真っ直ぐ手を伸ばして触れると、明らかに人ではない感触が。ま、まさかジャッカル、ついに・・・・・・。
「俺は人のままだっつの」
なんだよ、もうちょっと遊ばせろよ。とかブツブツ呟いてから、本物のジャッカルがどこか探す。ちなみにさっきのは木でした。
「ここか?」
「ちげぇよ。声でわかるだろ?」
「声が聞こえる方に向かったらこれだったんだよ」
また外れか。・・・これは、すべり台?どこだよジャッカル。とかなんとか文句を垂れていたら、呆れたジャッカルがこちらまで来てくれた。うん、さすがにこの距離なら見えるよ。近いし。
「・・・あれ?」
「ん?どうした?」
・・・ジャッカルがいない。目の前から声も聞こえるし、ちゃんと触れるのにジャッカルの姿が見えない。可笑しい、なんで!?
「はぁ?何意味のわかんねぇ事言って・・・、うわ眩しっ」
「あ、いた」
携帯のライトで照らすと、途端に暗闇の中にジャッカルの姿が浮かび上がる。なるほど、ジャッカルの肌の色のせいで暗い中だと見えなかったんだね。目の悪い私の敵じゃないか。
「ジャッカル、もっと目立つ色にしてよ」
「無茶言うなよ。生まれつきだ」
「じゃあせめて服を派手に」
「・・・小林さ○子の衣装着てやろうか?」
「・・・・・・ぶふっ」
ちょっと想像したら笑える。でもそれは私が恥ずかしいからやめい。
「っていうか、もしはぐれたら私じゃジャッカル見つけられないよ」
「・・・良いよ、俺が見つけてやるから」
「うわ、ジャッカルくさっ」
「うるせぇ!」
照れたように言うジャッカルは本当に面白い。私はニヤニヤとした笑みを浮かべて、そっと彼の手をとった。少し歩道に出て歩いていけば、すぐに祭りの明かりが見えてくる。
「祭り楽しみだね」
「あぁ、そうだな」
「ジャッカル、一つだけ買って欲しいものがあるんだ」
「・・・なんだ?」
「・・・あのね、」
暗視装置
搭載
眼鏡
「・・・買って欲しい」
「ねぇよ。っつーか自分で買え!」
「えー、それはジャッカルが私を見つけたいからっていう・・・」
「そういうのじゃないから」
「・・・ちっ」
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目が悪い人には、ジャッカルの肌の色って暗い中で目立たないと思うんです。
2012/3/5 repiero (No,31)
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