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再び、時と場所は変わり。

部活動を終え、染み付いた汗の臭いにまみれる部室で数人が話しこんでいた。仁王と丸井、柳、赤也、それから俺だ。

「相沢、っつったか」
「あぁ……、志穂がどうかしたのか?」
「なかなか面白い奴じゃな」
「ふむ、それに関しては俺も同意見だ」
「先輩かわいかったっす!」
「はぁぁぁお前ら一体何を見てたんだよい!?」
「なんだ、みんな志穂に会ったのか……?」

一瞬驚いたように上がった眉が、すぐに不快感と共にひそめられる。できれば志穂には会わないでほしかった、というのが俺の心情で、けれど彼女の交友関係に口を出す権利もないからと唇を噛む。幸いなことに、俺の複雑な表情に気が付いた面子はいなかった。

「面白い、っつうか、なんじゃろうな」
「可愛いっす!!」
「いや、そういうのじゃなくて」
「ふむ……、funnyというよりinteresting、という感じの『面白い』だったな」
「そう、それじゃ参謀!」
「どう考えてもcrazyだろあいつは!!」
「丸井先輩しつこいっすよ、先輩は『可愛い』っす!!」

思い思い、好きなことを言ってはいるけれど、俺からしてみれば彼らはまだほとんど彼女のことを知らない。それなのに、と嫌な気持ちがむくりと起き上がったところで、俺は無理矢理それを押し消した。
interestingっていうのは俺も同感だけど、と口を出してみると、丸井以外から同意が得られた。丸井は相変わらずうるさく騒いでいる。

「それで……、」
「柳、さっきもらったデータだが……むっ!! 貴様ら何をしておる! たるんどるぞ!!」
「げっ、真田副部長!!?」

またしてもタイミング悪く入ってきた真田に、真っ先に声を上げた赤也がまず鉄拳制裁を受ける。続いて丸井、仁王、とゲンコツをもらい、涙目になって頭を押さえていた。柳と俺は無事だった。

「いっってぇっすよ、副部長!!」
「貴様がたるんどるからだろう!!」
「痛いナリ……」
「なんで俺まで……!」

痛がる三人と憤慨した様子の真田にため息を零し、柳が立ち上がって部室を後にしていく。他の面々もそれに習って立ち上がり、その場はお開きとなった。

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