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「やばい、遅刻するやばいやばい」

走っていた。今は授業の合間の10分休憩で、そして次の授業まであと2分といったところだった。移動教室なので、急いでそこに向かわなくてはならない。歩けば遅刻だが、廊下を走っていけばまぁ余裕で間に合うだろうといったところだった。

「風紀委員に見られたらまずいな」

ふとそんなことが頭を過ぎったが、まぁとりあえずは良いとしよう。
……と、そんなことを考えていた私がいけなかったらしい。

「……むっ、貴様、何故廊下を走っている!!」
「うげっ、風紀委員長っ!」

廊下を曲がってすぐ、向こうから歩いてきたのはまさかの風紀委員長。顔が怖いって有名な人です。そしてたしか、テニス部の副部長でもあったはずだ。

「たるんどる!! 廊下は走るなと言っておるだろう!」
「ご、ごめんなさいっ、授業に急いでて……」
「言い訳無用! もし走っている途中に誰かとぶつかったら危ないだろう! 貴様、名前とクラスは?」
「3-Iの、相沢志穂です」
「……むっ、相沢だと?」
「え? あ、は、はい……」

困惑しながらもうなずくと、風紀委員長(名前は忘れてしまった)さんは奇妙な顔をした。それから何かを考え込むようにした後、まぁいい、と空気を断ち切った。

「今後は廊下を走らないように。良いな?」
「はい、すみません」
「わかれば良いのだ」

思ったより良い人だ。……で、私はなんで走ってたんだっけ?

キーンコーンカーンコーン……

……あ。

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