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最近、赤也の様子が可笑しい。

異常が起こってから1週間経った今、そのことは彼自身にも自覚がつき始めている。原因がわかっているのかわかっていないのか、彼は本能的に、女子を避けるようになっていた。
前なら笑顔で返していた挨拶も、今は引き攣った笑み。女子が廊下を歩いていると、できるだけ離れたところを歩く。触れられそうになった時は全力で避け、苦笑いで誤魔化す。

……そしてそれは、私に対しても、同じことだった。

「赤也、帰ろー」
「!! ……あっ、はい! 帰りましょう!」

私が後ろから声をかけると、彼は一度びくりと肩を震わせて振り返った。そして私を見るなり、どこか怯えた態度で笑顔を向ける。私はそれに一瞬動きを止め、眉を寄せた。

「……どうかしたんっすか?」
「あ、ううん。なんでもないよ。帰ろうか」
「はい!」

仁王たちに相談して以来、赤也にはできるだけ触れないようにしている。手も繋がないし、勿論キスもしない。彼の痛がる姿を見たくなかったのもあるし、彼がそれをしようとしてくれなくなったのもあった。

「今日は赤也、ちょっと調子悪かったね」
「そ、そうっすか? そんなことないっすよ!」

彼が、周囲のギャラリーを警戒していたのは見ていてわかった。練習にも僅かだが支障が出ていたようだし、これが大きくならなければ良いのだが。……そしてなによりも、私との関係に、ヒビを入れる事にならないようにしなくては。

「……ねぇ、赤也」
「なんですか?」
「最近さ……、」

ちょっと、ぎこちないよね。
そう言おうとした口を慌てて閉じる。今そんなことを言ってしまっては、彼に困った顔をさせるだけだ。赤也は不思議そうな顔をしてこちらを見、私は誤魔化すようになんでもないよと笑った。

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