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「うっっぎゃぁぁ!!」

廊下の向こうから聞こえた悲鳴に、私はぱっと顔をあげた。案の定、遠くの方に赤也の姿が見え、半ば呆れたように溜息をついた。近くには女子生徒が何人かいて、驚いたような顔をしているのがわかる。

「……ってぇじゃねぇか、なにすんだよ!!」
「な、何もしてないってば!」
「あ、赤也君、大丈夫……?」

ひとりの女子が手を伸ばす。そしてその手が肩に触れた瞬間、赤也がのけぞるようにして再び叫んだ。

「あっ、赤也君!!?」
「お、お前まで、なにすんだよ!!」
「だから何もしてないってば〜っ!」

そしてまた誰かが触り、赤也が叫び、触り、叫び、と連続して赤也の悲鳴が響いて、

「か、可哀想に赤也……」

思わず顔を引き攣らせてしまった。しかしその間にも、ギャーギャーと赤也たちは騒ぎ続けている。女の子達、お願いだからやめたげて。なんか可哀想だ。

「めぐみー? 早く行かないと授業遅れるよー」
「……あっ、ごめんごめん」

一緒に移動していた友達に呼ばれ、私は慌ててそちらへ駆け寄った。
赤也のことが気になるが、今の私にはどうにもできない。原因はわからないが、……まさか本当に「拒絶反応」なのだろうか?いや、そんなわけはない。しかし、できるだけ早くこの状況の原因を見つけ出さなければ、赤也にとっても、そして自分にとっても、良くないことが起こる気がしていた。

未だ懲りずに聞こえてくる悲鳴のような絶叫のようなそれに、そっと目を伏せた。

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