||少女の恋


※このお話は、「離愛クライシス」の番外編です。本編をお読みになった後での閲覧を極力推奨いたします。


「赤也くん、ナイスファイト!」
「……っす!」

なんて楽しそうな笑顔なんだろう、と思った。
今年この学校に入ってきたばかりの彼、切原赤也は、とても明るく元気な人だった。生意気なところもあるし、入部時にはちょっとした問題を起こしてくれたが、今では部の大事な一員だ。彼の太陽のような笑顔は、人を惹きつける力がある、と思う。テニスをしている時は一際だ。

「ふむ。成瀬は、最近あれをよく目で追っているな」
「なっ……、や、柳!もう、分析しないでよ!」

たしかに柳の言葉どおり、私は赤也くんをよく見ていると思う。マネージャーとして仕事をしている時、無意識に、彼の方に目がいってしまうのだ。
自分のことしかわからないけれど、私はこういうことに関して、けっこう聡いほうだ。だから、この行動の意味なんて、とうの昔に気がついていた。

「せんぱーい!」

駆け寄ってくる彼を見ると、どくり、と心臓が高鳴る。いつものことだ。
私は微笑んで、たぶん彼の目当てであろうドリンクを差し出した。あざーっす、と元気な声をあげて受け取ってくれる彼は、いつだって眩しい。

「……ん、先輩?顔赤いっすよ、日陰行った方が良いんじゃないっすか?」
「あ……、う、うん、ありがと。大丈夫だよ」
「うす! 無理しないでくださいね!」

顔の赤さは、きっと暑さのせいだけじゃない。


女の


その時から私は、君に恋をしていました。
――――――――――――
全ての始まりの話、的な。
106000のキリ番でいただいたリクエストでした。
遅くなってしまって大変申し訳ございません。

2013/8/14 repiero (No,142)

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