||世界で最もいらないもの





「なぁ、今一番欲しい物って何や?」

とある喫茶店の片隅で、君はそんな話題を切り出した。グラスの中でオレンジジュースがカランと音を立てる。光の手元には小さなカップ、中にはアイスコーヒー。よくあんな苦いもの飲めるよね。さすが私の彼氏。

「欲しい物ねぇ。光かな」

ブフッ。光がコーヒーを噴出した。あーあ、汚いんだけど。光はゴホゴホと咳き込んだ後、気管にでも入ったのか若干青い顔をしながらこちらを見上げた。

「と、突然何や・・・」

突然も何も、本当の事なんだけどな。別に変な意味じゃなくて、単純に君が欲しい。常に一緒にいないと、光不足になりそうなんだよね。
それを言うと、光は珍しく嬉しそうに笑って聞いてくれた。なんだか少し顔が赤い気もする。今度は何か喉につまったのかな?

「じゃ、今一番いらない物はなんや?」

そう尋ねられ、私はうーんと頭を捻った。欲しい物だったらすぐに思い浮かぶけれど、いらない物となるとなかなかに難しい。候補はあるんだけど、ちょっと迷う。
うーん・・・、でもやっぱり、

「私、かな」

世界的に考えて。なんて付け足すと、光は顔を顰めて私の頬を摘んだ。厨二病ぶるのもいい加減にしぃ、と嫌悪感120%で呟かれたからには、少なからず怒っているのだろう。それになんでだろうか、と思考が働いたが、うまく考えはまとまらずに、いつのまにか別のことを考えはじめていた。

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