||きみのとなりで虫をつぶします





「桃子ー!!」

明るい顔をして笑う君が嫌いで、その表情を歪めてみたくなった。

「・・・こーんちゃっす、謙也」

それが、そもそもの原因だった。

「どうかしたんか?元気ないで」

元気ないも何も、いつもこんな調子ですけど。首を傾げる可愛らしい恋人を見て、無性に腹が立った。彼を見るといつもこうだ、なんでだろう。

「っていうか、どうしたん?今日」
「なーにがー?」
「桃子が外におんのは、珍しいっちゅー話や!」

あぁ、まぁ、確かにそうかもしれない。にこにこしながら答えを待つ謙也。一度その両目を潰してやりたい。そうしたら、君はどんな反応をするんだろう。

「良い天気やなぁ」

そんな事を言って謙也がまた笑った。
今日も君は、私の隣で笑う。笑う。笑う。笑う。
好き、とかヘタレ野郎には似合わないくだらない言語を吐いて、そうして笑って。それに好きって返す私も馬鹿みたいだ、全く。気に食わない。

「・・・?どしたんや、桃子」
「んー・・・」

少し考え込むようにしてから、私はひょいとしゃがみ込んだ。謙也もそれに合わせてしゃがみ込み、私の方を不思議そうに見つめる。
まるで私が何をしたいのかわかっていない様子だが、それで良い。まだ君は笑っていて良い。私はその笑顔を壊してしまいたいんだから。

「・・・あ、カエルや」

謙也の目の前を、ぴょこんと緑色の影が跳ねた。にこにこと笑う君の様子に、私はほんの少し笑む。そうして立ち上がり、そのカエルをじっと見下ろした。

「・・・?も・・・、」

ぐちゃ。

もし効果音をつけるとしたら、それが最もオーソドックスだろう。振り下ろした足をどければ、身体の色々なモノを外に露見させた、哀れな姿のカエルがあった。あーあ、明日は雨かもね。
青ざめた君の顔を無表情に見返す。潰れたカエルの死体が、嫌にグロテスクに見えた。

「なに、して・・・」

あぁ、そうそう。その顔が見たかったんだ。

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グロテスクシーンごめんなさいorz
もう出てきませんのでご安心をば。

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