||色遊び


*色鬼のルール
鬼を一人決めます。それ以外の人は室内に適当に散らばり、鬼は自分のタイミングで「赤!」などと好きな色を大声で言います。それを聞いたら全員が指定された色を探して触り、触っていない時に鬼にタッチされたら鬼交代です。自分に障る事は禁止です。



暇つぶしに色鬼をやる事になりました。

「じゃー、鬼はユウジな」
「良いで」

場所は教室。私の彼氏であるユウジが鬼役で、私を含めテニス部のレギュラー陣が子役となる。ユウジは自信満々と言った様子だ。

「じゃ、行くで!・・・茶色!」

茶色、茶色・・・あった!
皆が棚やら机やらに触れようと動き、その内に金ちゃんが早くも捕まった。鬼はいきなりユウジから金ちゃんに交代だ。

「そんな、わい鬼かいなー!」
「ええから適当に色言い?」
「んーと・・・黒!!」

黒?視線を教室にめぐらす中、ふとユウジと目が合った。するとユウジがすぐさま近付いてきて、私の黒髪に触れる。確かに黒だけど、ちょっと・・・!?

「結奈、早く黒探さんとタッチされてまうで」
「あ、う、うん」

慌てて黒を探そうとして、目に入ったユウジの制服に触れる。っていうか、けっこう距離が近い。意識してしまって少し赤くなった頬に、周りは

「そこ、イチャついてんなや!」
「あーっ!!姉ちゃんワイもー!」
「やーん、ユウくんってば、だ・い・た・ん!」
「だだだ大胆!?なにしとんねんユウジ!」
「おっ、俺は別に結奈の髪に触っとるだけやん!」

とうるさく騒ぎ出す。確かに近いけど、別にやましい事してるわけじゃないし・・・そう思っていた私だったが、その思いはすぐに打ち砕かれる事になった。

「とりあえず、結奈さんから離れるばい」
「ちょ、手ぇ出すなや!」

脇から伸びてきた千歳さんの手から隠すように、ユウジが私を抱き締める。ちょちょちょっ、ユウジぃ!?近い近い近い!みんなの前だし!

「あーあ、井上さん顔真っ赤やん」

白石君の呆れたような呟きに、ユウジがようやくはっとなる。それから私を見て、

「すすすすまんっ!!」

と慌てたように飛び退いた。

「だだ、だい、だいじょ・・・・・・」

がっちがちになってなんとか答えようとする私に周囲は苦笑。それからしばらく、ユウジと私はその日の事でみんなにからかわれる事になった。


遊び


――――――――――――
やっつけ。

2012/8/7 repiero (No,61)

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