||06





また夜が訪れた。暗い暗い、静かな夜。まだ蓮二は帰ってきていなくて、私はひとりベッドの中でうずくまる様に眠っていた。
しばらく瞼を閉じていると、段々と眠気が襲ってくる。少しずつ意識が遠のいていったところで、・・・不意に、窓辺で音がした。

「誰・・・?」

蓮二が帰って来た様子はない。風や雨なんかの音でもない。確かにガチャリと、窓が開く音がしたのだ。
ゆっくりと身体を起こした私の瞳には、ただ黒いシルエットだけがうつった。

「あ・・・、っ!?」

声をあげようとした私を押さえつけるように、何者かに素早く馬乗りにされた。ギリギリと首が締め付けられ、苦しさにもがく。どうしよう、声が出ない。

「・・・・・・」

相手はどこまでも冷静に見えた。必死に声を上げようとじたばたしている私とは裏腹に、そいつは首を締め付けたままゆっくりと私の服に手を伸ばす。その手つきから、ようやくこいつが男である事を理解した。

「うっ・・・、くぁっ・・・・・・!」

男の冷たい手が腹部を撫で、服をまくりあげようとする。

嫌だ嫌だ嫌だ、誰か助けて・・・っ!!連二・・・っ、

男の手が、まさに私の胸元へと触れようとしたその時。

「・・・!」

ガチャリ、と音を立てて扉が開いた。男がばっ、と後ろを振り返り、それから舌打ちをして窓から逃げて行く。私はゲホゲホと咳き込み、恐怖にガチガチと震えた。ドアの方を見れば、そこには蓮二が呆然と立っていた。

「れん、じっ・・・・・・」

手を伸ばして、必死に名前を呼ぶ。早く、早く彼に触れて欲しい。そうしなければこの恐怖からは逃げられない気がして。蓮二ならば、優しく私を慰めてくれるだろうと。

「・・・・・・」
「れん、じ?」

怯えるように言葉を紡ぐ私に返って来たのは、酷く冷たい瞳だった。


責めるように


どうして、あなたはそんな目で見るの?

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