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その夜の事だった。小さな足音に、私は目を覚ました。寝ぼけ眼を擦って、薄暗い部屋の中でむくりと起き上がる。ベッドの傍に置いてある時計に目をこらせば、針は夜中の12時過ぎをさしていた。
近付いてくる足音が、部屋の前で止まる。私は扉の方をじっと見つめ、その人物の来訪を待った。恐怖は感じられない。

ギィィ、と扉が開いた。

「誰、」

そう問うた声に、返事はない。しばらく沈黙が流れた。
その人は部屋の入り口で立ち止まっているようで、私はそのうっすらと浮かび上がったシルエットをじっと見つめていた。

「・・・今日は、どこに行っていたの?」
「仕事だ」

短い返答が返ってくる。それ以外の答えは期待していなかったが、やはりこうも遅いと溜息が出た。彼こそが、私の彼氏である柳蓮二だ。

蓮二は暗い部屋の中を明かりもつけずに歩き、月明かりのさす窓の方へと歩み寄った。カーテンを片手でめくりあげ、しばし外を眺めた後、窓を開ける。途端に冷たい夜風が吹き込んできた。その寒さに身を震わせる。

「・・・蓮二、」

小さく名前を呼んだ私に彼が近寄り、口付けをする。重ねられた感触には、もうずい分昔に慣れてしまった。彼の熱い舌が侵入してくる。

「ん、ふ・・・・・・」

互いに互いを求め合うように深いキスを交わして、唇を離す。唾液が伝い、月明かりを受けていやらしく光った。それに欲情してしまうのは、私も彼もどうやら同じのようで。

「奈菜・・・・・・」

名前を呼ばれると同時、どさ、とベッドに押し倒された。


冷えた


夜中にこうして目を覚ませば、必ず彼に抱かれた。

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