||26





幸村と2人で通り抜けた道を逆行して、流れゆく景色を尻目にどんどんと彼のもとへ近づいていく。走って走って、足をもつれさせながらもなんとか階段をかけ上がった。夜中だというのに開きっぱなしの扉は、私の為に開けられていたような気がして。肩を何度も上下させながら自室の扉を開けば、蓮二が私のベッドに転がっていた。

「奈菜・・・!」

起き上がった蓮二は私を確認するなり目を見開いた。すぐさま抱きしめられて、愛してる、と囁かれる。

「れん、じ・・・・・・」

声が震えた。蓮二がそういう人でないことはわかっていたが、それでも殴られるかもしれないと思った。私はそれだけのことをしたのだから。
しかし、そんな事まるでなかったかのように「もうどこにも行かないでくれ」なんて言った彼に、小さく笑った。


つくり笑いをうかべた


力強い抱擁に、泣かずにいられると言ったら嘘だった。

[27/32]
[prev/next]

[一覧に戻る]
[しおりを挟む]

[comment]

[back]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -