||22





一人で家に帰った私は、ベッドに潜って彼のことばかりを考えていた。最近距離が遠くなっていた事や、そんな中で遊園地に誘ってもらって嬉しかった事。・・・私が彼についてほとんど何も知らされていないという事も。
真夜中のだだっ広い部屋で、時計の音だけが私を支配していた。月明かりは曖昧で、その輝きに妖艶な影すら見た気がした。そうしてそんな時に限って、男は現れた。

「やぁ」

窓辺に現れた人影に、私は瞬時にそれが誰であるかを悟った。いつもの侵入者だ。本当に彼はタイミングが悪いのだから。いや、それとも狙っているんだろうか。

「元気ないのかい?」
「・・・・・・」
「可哀想に、あいつに裏切られたの?」
「・・・馬鹿にしないで!」

嘲るかのように言った男に、無性に腹が立った。思わず声を荒げた直後、わざとらしく音を立てて部屋の扉が開いた。

「あ・・・・・・」

そこに立っていたのは、蓮二だった。蓮二は男の存在に気がつくと表情を険しくし、睨みつけるようにして歩み寄ろうとする。

「・・・今日は、あの子と遊ぶんじゃなかったの」

蓮二の足を止めるように、私はそう言った。それに男が嘲笑う。蓮二は何か答えようとしていた口を閉じ、男の方へ体を反転させた。答えるより先に、男の処理が先だと判断したらしい。蓮二が男を取り押さえようと手を伸ばす。しかし男は余裕の風体を崩さない。ニヤニヤと、こちらをただ真っ直ぐに見つめていた。蓮二の手が男に触れる。
それに、私は。

「・・・やめてっ!!」

そう、叫んだ。

「奈菜・・・?」


そんなに信用できませんか、僕は


後悔した時にはもう、遅かった。

[23/32]
[prev/next]

[一覧に戻る]
[しおりを挟む]

[comment]

[back]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -