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カチャカチャと、食器の音が鳴り響く。必要な食器を軽く水洗いしてテーブルにのせ、作った料理を皿に盛る。朝も昼も夜も、私は毎日一人で食事を取る。

「いただきま・・・」

ルルルルルル・・・

手を合わせた直後、携帯が鳴った。誰だろうと取り出してみれば、蓮二からだった。慌てて、電話に出る。

「もしもし?」
『奈菜か?すまないが、今日は帰りが遅くなるかもしれない』
「・・・え?どうして?」
『急用が入った。今夜中に済ませなければならない』
「・・・そっか。頑張ってね」
『あぁ。じゃあな』

ブツッ、と電話の切れる音がして、私は力無く携帯をテーブルに置いた。遅いのはいつもの事だが、わざわざ連絡してきたと言う事は普段以上に帰りが遅くなると言う事だ。そうまでして済ませなければならない用事とは、一体何なのか。

「・・・仕事、だよね」

自分自身に言い聞かせるようにそう呟いて、私は再び手を合わせた。いただきます、と小さく言ってからナイフとフォークを取る。今日は久しぶりに洋食を作ったのだ。

(今日、寝れるかな)

蓮二がいないと言うだけでこんなにも不安になる。早く明日になれば良い。明日になれば、また普段どおりの毎日に戻れる。

(そういえば、あの男の人・・・・・・)

ふと頭を例の男が過ぎ去り、思わず顔を顰めた。そしてそれと共に思い出したのは・・・

『この砂時計が落ちる頃、君を迎えに来る』

「・・・!!」

カラン、とナイフが落ちた。ナイフだけじゃない、もう片手に持っていたフォークも。がくがくと、得体の知れない何かに身体が震える。恐怖のような、それでいて狂気のような。

何度拾い上げようとしても、震える両手は何物も掴んではくれなかった。


としたナイフとフォーク


2つの銀色が、鈍く光っていた。

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