||04





ミスドに行った日から3日後、再び大雨が降った。今度も天気予報は丸外れの「晴れ」。信じて傘を持っていかなかった私が馬鹿みたいじゃないかと、小さく舌打ちした。携帯を開いて、友達に「土砂降り、最悪」とメールを送る。すぐに「ドンマイ」と返信が返って来て、少し苦笑した。

「さて・・・帰るか」

はぁ、と溜息をついて、雨の中に飛び出す。途端にスーツが色を変え、むき出しになった両足はその勢いに痛さを感じるほどだ。もう夏になるというのに、雨のせいで酷く寒い。駅からアパートまでは、歩いて10分ほどかかる。必死に走っていけば、まぁ9時30分ぐらいには家につけるだろう。

「は、っ」

ほんの少し荒っぽく息をしながら、ひたすら走った。早く帰ってビールを飲みたいと、頭の中ではそれだけを考えていた。





アパートにつくなり、私は盛大に溜息を漏らした。そういえば今朝も大家が

『この間降ったきり、全然雨が降らないわ!』

とか言っていた気がする。やっぱり大家のせいか、くそ。とかなんとかまた悪態づいて、のろのろと階段を上っていった。ここまでくると雨はもう当たらないが、ダァァァ、という明らかに雨とは思えない異様な音を聞いていると、どうにも疲れが身を襲う。ぶるりと体を震わせて、足を速めた。

「・・・あれ、」

階段を上りきってから、ふと足を止めた。私の部屋は、階段から2番目に遠い位置にあるのだが、そのあたりに何か人影が見えるのだ。・・・今度こそ不審者か?いや待て、今自分の身を守れるものは何も無いぞ。ここは警察に連絡するべきか。でも勘違いだったら不味いし・・・。

「・・・!」

恐る恐る近付いていこうとした瞬間、私はある事に気がつき、慌ててそちらに走り出した。私の隣の部屋の扉に寄りかかるようにして座り込んでいる彼は、間違いなく幸村さんその人で。遠目から見ても、ぐったりしているのがわかる。彼のそばに辿り着くなり幸村さんの体をゆすり、起きない事がわかると彼の体を無理矢理かついだ。大の男なだけに、私にはかなり重い。
自分の部屋の鍵をあけて、急いで彼を中に運び込む。ソファに寝かせ、毛布を被せた。額に手を当ててやれば、かなり熱い。雨に打たれて風邪を引いてしまったのだろうか。

「・・・ん、」
「幸村さん?・・・目が覚めたんですか?」
「・・・大木、さん?」

途切れ途切れにそういう幸村さんを見て、ほっと息をつく。良かった、彼は元気みたいだ。事情を簡単に説明すると、こちらを見てありがとうと弱弱しく微笑んだ。


はい、冷えピタです。
看病してくれる恋人くらいつくっといた方が・・・あぁ、そう。



幸村さんはそのまま私のソファで眠りについた。ちょっと、私の寝る場所。

[4/9]
[prev/next]

[一覧に戻る]
[しおりを挟む]

[comment]

[back]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -