||電子的恋愛?





「・・・あ、メールだ」
「もしや愛しの彼氏様?」
「その言い方やめろ」
「ごめんごめん」

仁王と付き合い始めてから1週間が経った。仁王とは屋上での接触を除いて、一度も会っていない。その代わり、メールや電話は結構な頻度で行われていた。

「今日の内容は?」
「・・・後で屋上に来いだって」
「やーん、ラブラブー」

棒読みでそういう事言わないで欲しい。

「で、やっぱり行くんでしょ?」
「うん。それしかあいつに会う方法ないし」

仁王と付き合い始めてからと言うもの、私はかなり人目を気にするようになった。彼はファンクラブまであるほどの人気者だから、もし付き合っているなんて噂が流れたら何をされるかわからないのだ。
仁王もそれをわかっているので、私との会話にはかなり気を遣っている。

仁王に会うのは授業をサボった時、屋上でのみ。それ以外の交流は全てメールと電話で行われ、デートは残念ながらできない。いつかする日も来るのだろうけれど、とりあえずまだ付き合い始めの今はこのような閉鎖的な付き合いをする事に二人で決めていた。仁王にしても私にしても辛いわけだけれど、彼も私の為を思って我慢してくれているのだ。

「それじゃ、私行ってこようかな」
「もう行くの?いってらっしゃーい」
「うん。じゃあね」

唯一このことを知っている香奈は、すでに私たちの事を認めて応援してくれている。そんな彼女に小さく手を振って、私は教室を後にした。

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