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リング編


「明日は夢の対戦です。すでにリングは完成しているので現時点のボンゴレ最強と闘っていただきます。」

その日、青々としていた午前中の空模様をそのまま引き継いだように夜も晴れていた。
黒々と、雲の灰色が一つもない空模様はまるで夢の異名である闇を表している様でもあった。
月は半分に割れ、星々は月を囲むように煌々と光っていた。

それらが発する光に照らされながらチェルベッロが賜った言葉に、綱吉は目を見開いた。

「な!?どういうことだよリボーン!」

自分は夢、などと言うリングの事は一つも聞いていない、と綱吉はリボーンに詰め寄る。

「夢のリングの守護者は最強じゃなきゃいけねーんだ。」
「そんなに強い人いねーよ!」
「いるぞ。お前のすぐ近くにな。」

月に照らされたリボーンのまん丸の黒い瞳が、煌々と光った。








次の日の夜10:50。ツナ達は、中庭に集まっていた。
その日も前日と全く同じように、黒々とした闇が中庭を覆い、星々は煌々と光っている。
ただ、前日と違うのは月が半分よりも少し欠けていて、そして青白く光っている点だった。

月明かりの下で綱吉は腕に巻いた時計を一瞥してから眉を下げてリボーンに言う。

「どうすんだよリボーン!もう十分前だぞ!」
「来るはずだぞ。…多分な。」
「多分って!」
「あと十分で来なければ、ボンゴレの夢の守護者はいないことになります。」
「んな!?どうすんだよ!リボーン!」

綱吉が頬に汗を走らせ、リボーンの名前を言うと同時に地面が揺れた。
地震ではない。その証拠に“並”とは言い難い程の大きさを持った校舎はびくとも動いては居なかった。
なんとも嫌な音を立て、地面から出てきたのはゴシック調の扉。
地面から出てきたというのに土一つ付いていない扉がゆっくりと開き、中の――夜の空よりも尚黒い中が露わになる。
綱吉達が息を呑んでいると突然扉の中から白い厚底パンプスが出てきた。
続いて白い所々にレースを付けているニーソックス、白磁の肌、ピンクのフリルをふんだんに使った白いスカート、白い姫袖ブラウス、紅く塗った爪、と順々に出てくる。
最後にヘッドドレスを付けたその人物の顔を見た綱吉達は、思わず声に成らぬ声を出した。

「「「「「「!?」」」」」」
『沢田夢月ちゃん登場ぉ〜』

出てきたのはゴスロリ服――と言うよりも甘ロリ、と言った方がいいかもしれない――を纏った髪の長い少女。沢田綱吉の双子の妹、沢田夢月だった。

「んな!?夢月!?」
「沢田夢月が来たので夢のリング戦を始めます。」

夢の異名の闇、にはあまりに似つかわしくない白い服を纏った夢月は手に持つ傘のかぼちゃの柄を握りしめながらにたり、と口端を吊りあげた。



夢の対戦の始まり
(終わりの始まり、だね♪)

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