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リング編


「あら、夢月ちゃん学校は?」
『いかな〜い今日はなんだか調子が悪いんだぁ』
「まあ大変!しっかり休むのよ?」
『わかったぁ』

ぱたぱたとスリッパを鳴らしながら部屋を出て行った奈々に夢月はくつりと喉を鳴らす。
演技なのに、と。
…もっとも演技と言っても、夢月の顔は本当に青白く、演技とはとても思えなかった。

「さぼりは良くないぞ。」

ベットでごろごろしている夢月の枕元に、リボーンがやってくる。

『だって眠いんだも〜ん…寝させて?』

枕に顔をゆがめて上目づかいで見る夢月にリボーンは観念したようにため息をつく。

「はぁ。仕方ないな。」
『ありがとぉ』

リボーンも大概ボクに甘いよねぇ。
そう思いつつ、夢月の意識は闇に沈んだ。



夢の世界に降り立った夢月はいつもと違う様子に微笑んだ。誰かいる、と

「おや…クフフ、やはり散歩はいいですね。」

独特の笑い方と頭に着いた房。
赤と青のオッドアイに、右目に浮かぶ数字。
夢月は唇に指を当てながら首をかしげる。

『んー六道骸かな?』
「そうですよ。あなたは?」
『沢田夢月だよぉ知ってるでしょう?』

にっこりと笑いながら夢月は言う。
ランキングに載っていただろう、と言外に告げて。
そのせいで夢月は町中を連れ回されたのだ。

「!!あなたが…なるほど。測定不能ですねたしかに。」

結果は知らされていなかったので、六道骸が行った結果に少し目を見開き、そして骸の驚きように眉を寄せた。

『…何その反応ぉ』

そんな夢月にクフフ、と笑みを零しながら骸は口を開いた。

「あなたはとてつもなく強い。アルコバレーノよりも遙かに…ね。」
『ふーん。乗っ取るのぉ?』

手を上げ、戦闘態勢を取った夢月に骸は首を振った。

「いえ、あなたを乗っ取るのはやめておきます。あなたの力は強大すぎて僕の身には余ってしまいそうだ。」
『へぇー』

ぴきぴきと夢の世界に亀裂が走る。

『あ、もう起きるみたい。じゃーね〜』
「クフフ…また今度」

ひらひらと手を振る夢月に、骸は目を細めた。





夢月が起きたら、もう夕方だった。しかも、目の前には双子の兄のドアップ。

「あ!夢月!寝過ぎだよ!ほら、行くよ!」
『いかなーい。今日は調子がわるいんだぁ。』
「もー。また仮病使って!オレは行ってくるから。じゃーね!」
『がんばってぇ〜』

ひらひらと手を振り、そしてまた枕に突っ伏する。
ヘボい人間の戦闘など夢月にとってはどうでも良いのだ。


夢の中での出会い。
(六道骸…かぁ。また会いたいな♪)(クフフ…やはり散歩はいいものですねぇ)

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