10mM | ナノ
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距離10m:sideM


俺は駅前に着いた途端、今日来たことを後悔した。

大勢の視線を集める3人組がいる。名護に東、古川だ。
東と名護はモデルみたいに見え視線を集めている。更に東の古川に向ける何とも甘い笑顔に注目は高まる。

俺帰ってもわからないんじゃ?人が多くて分からなかったって言い訳あるし、と考えた時。
名護と視線が絡んだ。すると名護がこちらに歩いて来る。

俺の逃亡計画は消えた。名護と共に集まってくる視線にガックリしながら名護の方へ進む。
「よお、松川。ふぅん、私服まぁまぁ良いじゃん」
「はは…アリガト。名護は相変わらず格好良いよ」
モデルばりの名護に言われても…と思いながらも取り敢えず褒めておく。
名護は俺のセリフに満足げに笑って俺の頭を撫でた。
名護はよく俺の頭を撫でるが…身長的に撫でやすいのか?

店はすごく美味しそうで、甘い物が好きな俺と古川が先に行き、全員が揃ってから食べ始めた。

「美味しい?」
「うん。あ、はい一口」
東にこの前のように一口食べさせてやる古川にまた俺はむせた。
「ぐふっ」
ここまでは前と同じだが、今日はここからが違った。

名護がいきなり手を伸ばし、俺の口を指で拭った。
驚いて見ていると指にクリームが見えて拭ってくれたのか、とナプキンを渡そうとした時。
名護が、指のクリームを舐めとった。

「っ!!な、何…っ!!」
俺は真っ赤になっていると思う。顔が熱い。パクパクと口を動かすが、名護は平然としたまま甘い、と呟く。

「古川も付いてるよ」
東がそう言って名護と同じようにクリームを拭って舐めとるのが視界に映るが、それどころじゃない。
それからは名護が近付く度に反応してしまい、ケーキどころでは無かった。

帰り際、名護がまた頭を撫でて来た。固まってしまった俺に名護はふ、と笑みを浮かべ手を顔の輪郭をなぞるように滑らせる。最後に親指で唇に触れた後そっと離す。

「クリーム美味かったよ、ご馳走さま」
親指で自分の唇をなぞりながら笑う名護に俺は真っ赤なままパクパクと口を動かす。
名護はまた笑って駅の中に入っていった。

その日から俺は古川の心配どころでは無くなるのだが…それはまた別のお話し。





100913
(な、名護は何を考えてるんだっ!!)

名護君と松川君の話を書くか迷ってます(笑)
取り敢えず東君と古川君が先ですが