とってもこわがりです | ナノ
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「#幼馴染」のBL小説を読む
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とってもこわがりです いち


「あ、この映画おもしろそう」
真淵さんが持ってきた雑誌の新しいDVD紹介のところの紹介文がおもしろそうで、つい言ってしまったこの一言が始まり。
「どれどれ?ああこれかぁ〜俺もちょっと興味あったんだよねぇ」
茜君がひょいと雑誌を覗き込んでそう言うと、ちょっと考えた後俺の方を見てにっこり笑う。
「トモちゃん、今日一緒にホームでこれ見ない?」
「えっ」
ほ、ホーム…ホームってあそこだよね…
サッとあそこでの恐怖体験が頭の中に浮かび、微妙に引き気味になった俺に真淵さんが口を開く。

「あそこホームシアターセットついてるから臨場感はあるからな、自宅で見るより楽しめるぞ」
その言葉にちょっとぐらつく。
だってホームシアターって…あれだよね!?
お金持ちしか持てないようなあのセットだよね!?
「あ、心配しなくても2階で見るから大丈夫だよ、なんなら来るなって命令するし」
「えっそ、そこまではいいよ」
茜君の言葉に慌てて止める。
だってそれはいくら俺がチキンでもちょっと…ねえ?
お、俺だって一応男ですしその、ちょびっとプライドが…

「そぉ?ま、上には限られた奴しか入れないし、俺もいるからだいじょぶだよ」
「じゃ、帰りにどっかで借りてから行くか」
「えっ、あっ…」
えええっ!いつのまにか行くことで決定みたいな感じに!
まだ行くって言った覚えないけど、否定しなかったらOKってことになっちゃうの!?
「どうせならあの子も呼んだら?」
「ああ、聞いてみる」
「ちょ、あのっ」
「楽しみだねぇ、トモちゃん」
「え……うん…」
にこっと笑う茜君に流されました…はい。
ま、まあちょっと不安だけど、大丈夫だよね?
映画見るだけだし、茜君もいるし、大丈夫…だよね?
うん、大丈夫、大丈夫!
チキンから抜け出すんだ、俺!

◇◇◇◇
「あ、久しぶり!智広君!」
「祥平君!」
若干不良の皆さんの視線にびくびくしながら上へ行くと、祥平君が既にソファに座って待っていた。
祥平君の姿を見てホッとして駆け寄ると、祥平君も同じように声をかけてくれる。
「一人で来たの!?」
思わず聞くと祥平君はううん、と首を横に振る。
「同じ学校の人がここまで案内してくれて…すぐ啓介達も来るってメール貰ったから待ってたんだ」
にこ、と笑う祥平君に内心ちょっぴり感心する。
だって直ぐ来るってメール貰ったからって、ここで一人だったんだよ!?
俺ならびくびくしまくって半泣きぐらいにはなってるよ!
前から思ってたけど、祥平君ってしっかりしてるよね…

「祥平、悪いなちょっと待ったか?」
「ううん、そんなに待ってないよ、啓介」
真淵さんがくしゃ、と祥平君の頭を撫でて話しかける。
祥平君って真淵さんとすっごく仲が良いよね。
真淵さんが面倒見良いのはいつもだけど、祥平君とは特にこうしてよく一緒にいるし。
それに二人でいると、いつもより何て言うか柔らかい感じ?
見てるだけですっごく仲が良いって分かる。

「トモちゃん、ジュースだけどオレンジでいい?」真淵さんと祥平君がにこにこ話すのをぼおっと見てると茜君が後ろから声をかけてきてハッとする。
「うん、ありがとう」
「いいよ〜はい、どうぞ」
茜君がにこっと笑って横に座る。
今日は映画を見るためなのか、壁の大型テレビに向かいあう様に二つソファが並べられている。
小さいテーブルにはジュース、後ろや周りにはスピーカ―が置かれてある。
前も思ったけど、このソファとかって誰のなんだろう…
もしかして不良の皆さんがお金を出し合って買ったとか…?
……や、やめよう、いろいろ考えるとなんだか座ってられなくなる、うん。

「んじゃ、そろそろ始めるか」
真淵さんが自分の分と祥平君の分の飲み物を持ってきてテーブルに置くとそう言って前のテレビの方へ歩いて行く。
DVDを入れて祥平君の隣に座った真淵さんを見て茜君が口を開く。
「じゃ、電気消すよ〜」
ピ、と音と同時にふっと電気が消えて暗くなる。
わわわ、なんだかほんとに映画館みたいでちょっとドキドキする…!
ゆっくりと流れ始めた映像に俺はうきうきしながらテレビに見入っていった。

◇◇◇◇
も、もういやだああああああああああああああああ!!!
ビシャッ『ぎゃああああああ!!』
ぎゃあああああああああああああ!!!
俺と画面の中の登場人物の気持ちはリンクしっぱなしで俺は内心叫びまくり。
なんだよこの映画っ!!
なんでスプラッタでホラーなんだよおおおおお!!!!
パッケージそんなんじゃ無かったじゃん!!
ちょっとハラハラドキドキするアクション物って感じだったじゃん!!
あの映画紹介文もこんなこと書いてなかったじゃんかああああああああ!!!?

グシャッ『うわああああっ!』『!やばいにげ…ぎゃあああああ!!!』バキベキゴシャッ!
わああああああああああああああああああああ!!!!
もう駄目!駄目だからっ!!!
ホラーもスプラッタも駄目だからああああああ!!!!
俺さっきからびくびくしっぱなしだからねっ!?
無駄に音がよく聞こえてきてほんと半端なく怖いからっ!!!
もう俺さっきから半泣きだからっ!!!
悪いけどほんとちびっちゃいそうだからっ!!!
え!?怖けりゃ眼瞑って耳ふさげばいいだろって?
ここまで来たら最後まで見ないと呪われそうだろうがあああああ!!!!
そんな完全に遮断しちゃたら逆に想像しちゃって駄目だからっ!!!
ひいいいいいいい怖いよおおおおおおおおお!!!!

怖くて怖くてほんと堪んないのに恐怖のあまり見ないことも聞かないことも出来ないなんて…っ!!!
ズル…ビシャッ『ひっ…ぎゃああああ!!!』
あわわわわわわわほんと泣きそうだよぅ…!!
ちら、と隣の茜君の様子を見るけど滅茶苦茶普通に飲み物飲んでるっ!!!
なんでそんな普通!?てか余裕!?
俺なんてさっきから悲鳴や物音の度に身体飛び跳ねるくらいビビってるのに!!!
これ以上ビビったらほんと耐えられな…
ズシャッ…グシャゴシャビシャアッ『っぎゃああああああああ!!!』

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ひうあyrkjぁjpはhじゅいあhふぁじゃflkj!!!!!
あばっあばばばばばばばばばばばばば!!?
無理っ!!!!もうほんと無理だからあああああ!!!!
必死に腕の中の物体にしがみつく。
やばいほんと無理無理無理!!!
怖すぎて限界超えてるのに恐怖の余り画面から眼が、眼が…!!!

がっちり腕の中に温かい物体を抱きこんだまま身動きが出来ない。
逸らしたいのに画面から眼が離れない。
やばひマジでちびりそう…!!!
足が振動パック並みにブルブルしてるっ!!
ひいいいいいいい誰か助けてえええええええ!!!

「…トモちゃん?大丈夫?」
ふ、と小さな声が頭上から聞こえてびくっと肩を揺らしてしまう。
なななななな何の声……ん?今の…
おそるおそる声の方を固まった身体をぎぎぎと動かして見上げると、心配そうな茜君の表情。
え、なんで茜君が…ていうか、ん?もしかしてこの掴んでるの…
「ホラー苦手だったんだね…怖かったら掴んでていいよ」
や、やっぱり!茜君の腕だったんだあああああ!!!

あああそうだよね良く考えたらそうだよね!
横にいたの茜君だもんねそりゃ近くにあったのは茜君の腕だよねええええ!!!
でもホラーにビビりまくってる情けないとこ見られて恥ずかしいとか言ってる場合じゃないからねっ!!
茜君の御言葉に甘えてありがたくしがみ付かせてもらっときますうううううううう!!!!!
あああああもう早く終わってえええええええええ!!!!

俺はそれから映画が終わるまでの間、コアラよろしく茜君の腕にがっちりと抱きついたまま恐怖に固まって過ごした。
うん、取りあえず今俺が一番言いたいことは…
お願いだからちゃんとどんなジャンルか分かる様なパッケージにしといてええええええ!!!!




120602
(!!(ぎゅううううっ))
(…(トモちゃん可愛い…))
(っ!…!(びくびくっ))
(……っ!(しょ、祥平の、て、て、て、手が…!!))


renoもホラーは無理です
ホラーと言えば友人YとKを思い出します
友人Yは苦手なのに、無謀にもこれまたビビりの友人kと怖いと超有名な歩くタイプの某お化け屋敷に挑んだのですが…
Yとkは恐怖の余り前にいたカップルの彼氏を無理矢理先頭にして彼女と彼氏の間に入り込んで出口まで歩き、出口で待っていたreno達を爆笑させました
ちなみに二度とYとKはお化け屋敷には入らないと決めたそうです(笑)