20mクラス | ナノ
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距離20m:Mの叫び


「古川って甘い物好きだよね?」
「え?好きだけど…」
休憩時間に聞こえてきた会話。
先日本能的な危険を感じた東の声に反応してそちらを見てしまう。
どうやら東が古川に飴をあげたらしい。古川が笑顔で礼を言い、東もそれに笑顔で答える。
それだけならよくある光景だった。

「えっこんなに?」
古川の驚く声。東は袋ごとあげたのだ。
「俺はそんなに甘い物が好きなわけじゃ無いし、ソレは古川のために用意したものだから、気にしないで貰って欲しいな」
にこ、と笑ってサラリと東は言い切った。

「え?」
困惑した古川の声とほぼ同時に、チャイムが鳴る。
困惑気味の古川にふ、と笑って東は前に向き直る。
その何か含んだような笑顔に危険を感じた。
いつもの爽やかな東と違い、どこか怪しい雰囲気を纏うその微笑。

危険だ。東から肉食獣の匂いがするっ!!
どう考えても俺や古川は捕食される側だ。
東に追い詰められる古川、という図が頭にちらつき、授業に集中することが出来ず只でさえ得意で無い数学が更に分からなくなる。

それ以降古川がそのミルクの飴を食べているのを見るたびににこ、と笑う東に言い知れぬ恐怖を感じる俺がいた。




100909
(ふ、古川に注意した方が良いのかな…)

餌付けを目撃した松川君