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名護と松川


「はい、これ」
「ん、悪いな」
「う、ううん」
テストなどの関係で、久しぶりに休日に亮の家に遊びに来て二人で鍋でも食べようって話になったんだけど、白菜が切れたからお邪魔してる俺が買いに行って来た。
ただ思ったよりも気温が低くて名護の家に着いた時には手が冷え切ってしまっていた。
亮が行こうか、って言ってくれたんだけど、亮が具材の準備はしてくれてるんだし、何より亮はこの前体調を崩したばっかりだったから断った。
手袋もマフラーもしたしこれなら大丈夫だろう、と思ってたんだけど…。

「寒かったろ、今何か入れる、ココアでいいか?」
「あ、ありがと」
温かいリビングに通され、亮がコート等を吊るしてくれる。
そのまま買ってきた食材を持って飲み物を用意するためにキッチンの方へ亮が行くのを見てからソファに座る。
この間に、とごしごしと両手を擦り合わせる。

実は俺は冷え症らしくてすぐに手が冷たくなってしまうのだ。
女の人みたいで恥ずかしいから黙って手袋とかでごまかしてたんだけど、今日の寒さは手袋だけでは無理だったみたいだ。
はあ、と手に息を吹きかけて擦るけど、全然温かくならない。
それに身体全体が冷え切っちゃっててちょっと肌寒い。
コートまだ脱がなきゃ良かったかな。

「おまたせ、っと圭、寒いのか?」
亮が両手に湯気の立ったマグカップを持って尋ねてくる。
「え、あ、大丈夫だよ」
ごしごしと擦り合わせていた手を慌てて外す。
だってやっぱり冷え症って女の人のイメージがあるから恥ずかしいし。
でも亮は納得出来なかったのか、ちょっと眉を寄せてテーブルにマグを二つとも置くと俺の真横に座る。
「寒いんだろ、見せてみろって」
「いや、だいじょ…あ!」

じり、と後ろに下がるけど亮の伸ばした手が一瞬早くて手を取られてしまう。
「冷た…冷え切ってるじゃねえか」
亮は俺の手の冷たさに一瞬驚いたように眼を見張ってから眉を寄せてそう言う。
「だ、大丈夫だって」
温かい亮の手の感触にこのままでは亮が冷えてしまう、と手を引こうとするがしっかりと掴まれていて引き抜けない。
「いいからちょっとこっち来い」
「え、わ!」
ぐいっとそのまま手を引かれたと思うと亮の脚の間にすっぽりと包まれるように後ろから抱きこまれてしまう。

「うわ、顔も冷え切ってるな…やっぱり俺が行けば良かったな」
とん、と肩に顎を乗せたかと思うと亮はそのまま頬と頬をぴとりと合わせてくる。
「っな、亮!?」
そのあまりの近さに若干顔を赤くしつつ名前を呼ぶと両手をそっとくるむように亮の手に包まれる。
「いいからじっとしとけって」
「で、でもこれじゃ亮が寒いだろ?俺なら大丈夫だって」
自分でも冷えた自分の手で暖かい部分を触りたいと思わないのに、これでは亮がかなり冷たい思いをしているだろう、と身体を離そうとするがぎゅ、と抱き締めるように回された腕に力が込められる。

「あのな、俺が大丈夫じゃねえの、圭が寒そうに震えてるの見てらんねえの」
呆れたようにそう言う声が至近距離に聞こえる。
そのまま指を絡め取る様に繋がれ、その仕草と言葉の意味に顔が赤くなる。
「俺がしたくてしてるんだから、圭は黙って抱き締められてりゃいいんだよ」
そっけなくそう言う亮だけどその手は優しく俺の冷えた手を包み込んでいる。
全身も後ろから包まれるようにされているおかげでじんわりと温かさを取り戻していく。
顔だって冷たいのにぴっとりと頬をくっつけてくれている。

じわじわと伝わってくる温もりに亮の優しさを感じて胸が温かくなる。
「…ありがと…」
「ん」
恥ずかしくなってちょっと下を向いたままそう言うと短い返事が返ってくる。
返事自体はそっけないけど、回された腕にしっかりと俺を引き寄せるように力が入ったのを感じて俺は今度は逆らわずに後ろの逞しい胸に身体をそっと預けた。

◇◇◇◇
「おいし…」
ようやく指に感覚が戻った頃、亮のいれてくれたココアを一口飲む。
じっとしていた間に良い温度になったそれはじんわりと身体の中を温めてくれる。
「今度からはこういうときは俺が行くから、いいな?」
亮も一口飲んでいたマグから口を離すと俺に言い聞かせるようにそう声をかけてくる。
「でもそれじゃ亮が風邪ひいちゃうよ!俺だってそんなの嫌だし…」
途中から恥ずかしくなりもごもごと小さな声になってしまうがまだ後ろから抱きこんだままの亮にはその大きさでも十分聞こえていたのかふ、と笑う吐息が頬にかかる。

「俺なら大丈夫だって」
「でも…」
「ならこうして圭が後で温めてくれたらいいから、な?」
「…うん…」
ぎゅ、とお腹に回された腕で抱き締められて耳元で甘く囁かれてうっかり頷いてしまい、かあっと顔が赤くなってしまう。
いつもこうやって結局は亮の思い通りになってしまう。
亮が俺のことを考えてくれてるからだって言うのは分かってるんだけど…

「…でも、無理は、やめろよ…?お、俺だって亮が心配、なんだから…」
いつも甘えてばかりというのも駄目だ、と思って一言言おうと思ったのだが、段々と恥ずかしさを感じてくる。
うわわ、何言っちゃってんの俺!
す、すごい恥ずかしくなって来た…!
反応を返さない亮に不安も感じてくる。
ど、どうしよ…お、俺うざかったかな…?
ううう…言わなきゃよかっ…

「圭…」
する、と頬に亮の唇が微かに当たっているのを感じる。
甘く掠れた様な声に、ぞくんと背筋に震えが走る。
片手が伸びてきて俯き加減だった顎を掬われ振り返る様に亮の方を向かされる。
「ん…っ」
そのまま亮にキスされる。
軽く啄ばむ様にキスされる間にいつの間にか手に持っていたマグをテーブルに移動させられる。

「ん、ふ…っぁ」
ことん、とマグをテーブルに置き終わった途端唇を割られて深くキスされる。
お腹に回されていた手が後頭部に回され逃げることも出来ないまま何度も角度を変えてキスされる。
もう片方の手で腰のあたりを撫でられ、びくんと身体が反応してしまう。
じわじわと熱いくらいに熱が高まってくる。
舌を絡める音が静かな空間に大きく聞こえ、それすらも熱を高める要因になってしまう。

「…ぁ、ふ…」
ようやく解放された時には息が上がり頬は上気してしまっていた。
さっきまでは寒かったのに、今は焦れる様な熱さを感じる。
「…圭…」
まだ唇がつきそうなくらいの距離で話す亮の吐息にさえもびく、と反応してしまう。
「あ…」
熱に浮かされた俺の眼と、じっとりと熱を孕んだ亮の眼が合う。
ぞくぞく、と身体が震える。

「…亮…」
身体の熱が焦れったくて亮の名前を呼んでしまう。
甘える様なその声に羞恥を感じるけれど、それ以上にこの熱をどうにかして欲しくて。
「…ベッドに行くぞ」
「ん…っ」
低い何か衝動を押さえ込んだような声でそう言い俺を抱きあげるようにして立ち上がる亮の首に俺も腕を回す。
この後どうなるか、分からないわけではないんだけど。

俺も離れていた分傍にいたいと思うから。
きっと亮も同じ気持ちだと思うから。
今はちょっとぐらい甘えてもいいよな?

俺と亮はキスを交わしながら熱さを分け合うように二人でシーツに身体を沈めていった。




110122
(こ、腰が…(ぐったり))
(悪い久しぶりだから手加減がな(にっこりつやつや))

かける様リクは名護と松川で甘甘でした
甘甘…に、なっているでしょうか…?(汗)
ちょっと松川に甘えさせてみようとしてみたんですが…何とも微妙な結果に…
個人的に攻めが受けを抱えるみたいに膝の間に入れて座るのが好きなのでやらせてみました(笑)
かける様、御不満等あればお気軽にコメントしてくださいね!
それでは拙い文章ですがこれからもよろしくお願いします