「ん…」
隣で眠る妻の髪を撫でてやる。
昨日はちょっと激しくしちまったからまだ当分起きて来ないだろう。
俺はヴィクセン、トナカイで、この可愛い寝顔の妻がニコラ、サンタだ。
ゆっくりとその寝顔を堪能しながらやっぱりニコラが俺の番だ、と確信を深める。
俺は一目見てこいつだ、と思った。
理由なんてねえ、ただ本能がこいつこそ俺の番だって断言してた。
言葉も交わしたこともねえ、名前も知らねえ。
ただ眼があった時、俺の本能が訴えた。
欲しい。
俺は強烈に湧き上がる感情を初めて知った。
知れば知るほど強くなる感情に俺は我慢を強いられた。
可愛い顔でサンタとしての初仕事を楽しみにしてんだ。
一年に一回、しかも記念すべき初めての仕事を出来なくさせるほど俺も理性が無いわけじゃねえ。
妻の願いを叶えてやるのも夫の仕事だからな。
ただ無意識なのか俺を煽ってくるニコラには参った。
俺の選んだ衣装を着て潤んだ眼で頬染めて見上げて来た時にはこのまま喰おうかと思ったぜ。
寝室で生脚見せて、しかも上目使いに可愛い声で「恥ずかしいよ…」だぞ?
ったく仕事さえなきゃ即行で押し倒す可愛さだったぜ。
しかも俺がトナカイの姿になった時も触って来た時はこれほど我慢が嫌になった時は無かったね。
ただでさえ高まってた熱が一気に上がった。
仕事さえ終わったら思う存分堪能できる、って自分に言い聞かせたけどな。
『…ニコラ、今夜が楽しみだな』と言った時のニコラの反応もヤバかった。
「うん、そうだね、俺、下手くそかもだけど、頑張るよ!」だぞ?
そりゃあもう頑張ってもらうに決まってんじゃねえか。
俺は特に先祖の血が強いのか体力もある方だしな。
ニコラには今まで感じたことがないくらいの感情の高まりも感じるし。
我慢してた分もあるし、ニコラには頑張ってもらわねえと。
仕事を即行で終わらしたら後はお待ちかねの時間。
俺は屋敷に戻ったらもう我慢が限界だった。
寝室に一直線に向かって、今までの分も全部ぶつけさせて貰った。
初夜にしてはちょっと激しすぎたのか、最後は気を失うように寝ちまったけど、ま、ニコラが可愛いんだから仕方ねえよな。
それから俺も後始末して一眠りした。
今は眼が覚めて可愛い妻が起きるのを待ってるってわけだ。
取りあえずニコラの体調が整い次第婚姻届を正式に提出するとして。
新居に住みたいって言うならいくつか所有してる土地が空いてたよな。
ニコラが辛くないように寝室のベッドは良い奴を買わねえとな。
後子供が出来た時のためにも庭は広い方が良いな。
ま、ニコラが気に入る様にまずは希望を聞かねえとな。
「…ん…」
ふる、と瞼が震えるのが見える。
うっすら開いた唇から零れる掠れた声にまたも熱が高めるのを感じる。
白い首や項、肌の至る所につけた赤い痕。
どんなに求めてももっと欲しいと思う。
俺が求めてやまない、愛しい存在。
さあて愛しい俺のニコラ、まずは眼覚めのキスから始めようか?
101228
(おはよう、ニコラ)
(ん……んん!?)
ニコラのどこがヴィクセンは好きなんですか?と御質問があったので
ヴィクセンは完璧なる一目ボレです、本能でニコラを選びました
ま、本性がトナカイですから(笑)
この二人思ったよりも皆様に好評なようで嬉しいです