クリスマスおまけ3 | ナノ
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クリスマス おまけ3


「ペアが出来ないよ…」
はあ〜とため息をついて机に突っ伏す。
「どうすれば出来るか、じいちゃんなんかアドバイスない?」
「どうと言われてもなあ…コメット、誰にも声をかけられなかったのか?知り合いにもさっき声をかけたんじゃがなぁ…」
「ほんと?ならカフェにもどろっかな…でもなぁ…」
もごもごと口ごもる。

俺はトナカイのコメット、今年からトナカイとして働けることになったんだけど…。
「ほら、あの子はどうじゃ?小さいころ仲良かったじゃろ、クラウスと」
じいちゃんの言葉に思わず飲んでいたコーヒーを噴き出す。
「ぶっ!じ、じいちゃん!俺はあいつだけは…!」
「私は大歓迎なんですけどね」
「ひっ!!」
ふっと耳に息を吹きかけられてびくっとしてしまう。

「おお、クラウス、久しぶりじゃなあ」
「お久しぶりです」
俺はじいちゃんとにこやかに挨拶を交わす男を見上げぱくぱくと口を動かす。
「なん、なんでお前がここに…!?」
「嫌だな、お前なんて他人行儀な」
他人だろ!?と突っ込むがさらっと流される。

「コメット、私とペアを組みましょう」
にこにこそう言ってくる男に俺ははあ、とため息をつく。
見上げるような長身に整った顔、さらには優秀なサンタとしての能力。
ペアとして引く手数多なこの男はなぜか俺にこうして声をかけてくるのだ。
確かに小さい頃は仲が良く一緒に遊んだりもしたが、養成学校に入ってからはほとんど交流が無かった。
まあ俺は体力が無いっていつも特別補講を受けてたからこうしてペアを探すのにも苦労してるんだけど。

「…無理だよ、俺じゃクラウスの能力についていけない」
実際なんとか他の普通のトナカイと同じくらいの体力はついたけど、一流と言われるクラウスについていけるほどのものじゃない。
トナカイは大抵体力があるんだけど、俺はもともとあまり無い方だったようでいわゆる落ちこぼれなのだ。
「コメット…心配ありません、ペアはお互い支えあうもの、私がきちんとコメットを支えます」
にこ、と笑ったクラウスにそうだけど、と思う。

確かにペアになったら二人でひとつ、魔法も何も二人の力ですることになる。
どっちかが苦手でももう一人が上手ければ十分カバー出来るんだけど。
「…それじゃクラウスの負担ばっかになるだろ…」
俺は体力もないしそれほど魔法が得意ってわけでもない。
俺とクラウスがペアになったらクラウスに負担をかけてしまうことは明白だ。
そう呟くとクラウスは一瞬目を見開いた後、嬉しそうに破顔した。

「コメット…私のことを心配してくれたんですね、とてもうれしいです」
その笑顔を真正面から見てしまってかあっと顔が赤くなる。
「でも大丈夫、私はコメットに癒されますし、負担なんて決してありませんよ」
ぎゅ、と手を握られてうろたえてしまう。
な、なんでいきなりこんな近寄ってくるんだよ!

「コメット…私のペアになってください、私があなたを一生支え続けます」
い、一生って…たかだかサンタとトナカイとしてのペアだろ?
と思うが顔は勝手に赤くなっていく。
じっと真剣に見つめられて心臓もドキドキしてくる。
「お願いです…あなたしか考えられない」
ううううう!び、美形に懇願されて平気なほど俺はすごい神経してないんだっ!
「わか、分かった」
だから手を離してくれっ!とぐいぐい手を引くがなぜかクラウスはがっちりと手を握ったまま。

「良かった…コメット、私が必ず幸せにしますからね」
にこっとこれまた威力抜群の笑顔でそういうクラウス。
うっ!っていうかさっきからセリフがちょっとおかしいような気が…?
「早速ペア申請に行きましょう」
ぎゅっと手を握ったままのクラウスが立ち上がるので俺もつられるようにして立ち上がる。
俺にコートを着せるクラウスを見ながら、そういえば昔も一回言いだしたら俺がうんと頷くまで離さなかったな、と思い出す。

「さ、行きましょう」
にこにこと嬉しそうなクラウスにこうして手を引かれていくのは昔から変わってなかったんだな、としみじみ思う。
この一回かぎりになるかもしれないけど、クラウスに迷惑はかけないよう一生懸命頑張ろう、と俺は繋がれた手を見ながら思う。
結局俺は昔からこのクラウスの嬉しそうな笑顔に弱いんだ。
「コメット?」
「…出来る限り頑張るから、よろしくな、クラウス」
「!ええ、こちらこそ!」

いやに上機嫌のクラウスに手を引かれながら歩く俺は、仕事の終わったその夜クラウスの言っていた数々の言葉の本当の意味を身をもって知ることになることをまだ知らなかった。




101225
(体力作りに特訓しましょうか(超笑顔))
(え?でももう夜…ってわああああああ!?)

サンタ×トナカイです
きちんと書こうと思っていたのに時間と気力不足によりこんなに短く…
ちなみにトナカイはすでに出ていたおじいさんの孫です
気にしてくれていた方がいたので短いですがアップしました