ストレスをあたえてはいけません 2 | ナノ
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ストレスをあたえてはいけません に


「ごめんねぇ〜トモちゃん、もう大丈夫だからね」
「う、うん…」
俺は今戻って来た茜君に何故か膝抱っこをされた上で頭を撫でられている。
普段通りの俺なら恥ずかしいし降りようと全力でもがくところなんだけど…
「ほら、言うことあるでしょぉ?それともまだ分かんないかな〜?」
「ひっ!す、すんませんっした!!」
「ひっ」

ここここここっこ怖いよおおおおおおおおお!!!
なんで土下座あああああああああ!!?
俺と茜君に向かって地面に頭を擦りつける勢いで土下座する不良に俺のチキンハートはドキドキバクバクだからね!?
しかもなんか皆ぼろぼろだしいいいいいいいい!!!!
さっき囲まれてた恐怖がまだあるんだよおおおおおおおおお!!!!

びくびくして茜君の上着をひしっと握り締めたままの俺に、茜君は優しく声をかけてくる。
「ごめんね〜こいつらにはきちんと教えといたからね、ね〜分かってるよね?」
最後は土下座したままの不良に聞く茜君。
あ、あの、眼が笑ってないままなんですけど…!?

「もちろんっす!ふざけたこと言ってすいませんっしたぁ!!!」
頭を下げたまま大声でそう言う不良達に俺はビビりまくってしまう。
「川島…頼むから許すって言ってやってくれ…」
よろ、とお腹を手で押さえたままの真淵さんが疲れ果てたようにそう頼みこんでくる。
な、なんかよくわかんないけど、許した方がいいんだよね…?
そ、それに暴力だって振るわれたわけじゃないし…

「…わ、分かり、ました…から、その、あ、頭を…」
いつまでも土下座してられるとなんだか気の毒になってきてしまう。
おそるおそるそう言うと、茜君が口を開く。
「優し〜トモちゃんが許すってんだから俺も今回は許すけど、二度と忘れないようにね」
「ハイっ!他の奴にもよっく言い聞かせときます!!」
「川島さん、ありがとうございますっ!これからは何でも言って下さいっ!!」
バッと顔をあげた一人がそう言うと、同意するように皆頷く。
いやいや結構ですからああああああ!!!
まだ俺貴方達とまともに口きけるほどチキン治って無いですからあああああ!!!

「トモちゃん、こいつらも好きなように使っていいからね〜」
にこにこ笑って茜君は上機嫌に膝の上の俺を撫でるけど、俺は引きつった笑いしか返せなかった。

◇◇◇◇
「川島さん、どうぞ!」
「ひっ、あ、あ、あ、ありがと…」
あれからクラスメイトには何とかこうやって返事が出来るようになった。
というのもあれ以降何かとお手伝いします!とクラスの不良に話しかけられるようになったんで、嫌でも慣れたというかなんというか…。
茜君が基本的には何かと手伝ってくれるんだけど、こうして消しゴムを落としたりしたらさっと周りの人が拾ってくれる。

「トモちゃんてば律儀に御礼言っちゃって、可愛い〜!」
茜君はあれからなんだかちょっと近い気が…
今も机ぴったりくっつけて椅子もすぐ横にくっつけて座ってるし。
気が付いたら頭を撫でられてることもよくあるし。
俺の頭って撫でやすい位置にあるのかな…?

にこにここっちを楽しそうに見ていた茜君だけど、またも鳴った携帯にちょっと眉が寄る。
「あ〜真淵ぃ」
「はいはい…」
疲れたように呟いて真淵さんが茜君の携帯を受け取る。
「詳しくは夜に聞くからって言っといて」
「…分かりましたよ、はぁ…」
教室を出ていく真淵さんを見ていると茜君が声をかけてくる。

「トモちゃん、トモちゃんの家ってここの近く〜?」
「えっ、うん…歩いて来てるけど…」
歩いて15分程度だから歩いて来てるけど、どうしたのかな?
茜君はそれを聞いてう〜ん、とちょっと難しい顔をしている。
「歩きかぁ…そっかぁ…一人だよね?」
「う、うん」
荒高に通う人でまともに接することが出来るのは同じクラスの人ぐらいの俺は当然朝は隠れるようにしてここまで急いで来ている。

「そうだよね…崎田!」
「はい、柏木さん」
茜君の声に一人こちらに近付いてくる。
茶髪でちょっと着崩した制服なんだけど、そんなに不良っぽく無い。
「トモちゃん、明日から崎田と一緒に学校来てくれる?」
「え?」
驚いて茜君を見る。
今まで話したこともないのに、いきなり一緒に登校!?
なんで!?

疑問が顔にはっきり出てたのか、茜君はちょっと困ったような顔をして口を開く。
「ちょっと最近この辺りに他のチームが来てるって噂があってね〜?可愛いトモちゃんに何かあったら心配で…だから俺のためにもこの崎田と一緒に登校してほしいんだぁ」
茜君の言葉にぎょっとする。
ほ、ほ、他のチーム!?つまり不良っ!?
そそっそそんな学校の不良だけでもいっぱいいっぱいなのにこの上さらに追加!?
そそそんなの俺のチキンハートがもたないよおおおおお!!!

「おおおおおおおお願いします…!」
制服で荒高ってことはばれちゃうし、荒高は不良の中でも強い人が多いってことで有名だ。
だから荒高の生徒だって分かっててわざと喧嘩を売ってくる人もいるって聞くし…。
今では茜君のチームがこのあたりのトップだからそんなことは無くなったけど、わざわざそこに来るってことはすっごくそういうことがしたいからなんだよね…?
そんな不良に俺が敵うわけないし、一人だとマジで気絶しちゃいそうなので俺の方からもお願いする。

「良かったあ、じゃ、明日からトモちゃん、家の前まで崎田が迎えに行くから、それまで待っててくれる?」
「う、うん!崎田君、よろしく…!」
「ハイ!必ず川島さんを無事にお送りするっす!!」
勢いよくにこっと笑ってそう言う崎田君にほっとする。
良かった、崎田君はあんまり不良って感じがしないから怖くないし、仲良くなれそう。
にこ、と笑いかけると茜君がいきなり俺の頭を抱きしめる。
「その顔可愛い〜!!そんな可愛い顔俺以外にしちゃダメだよ〜!!」
「あ、茜君!?」
ぐりぐりと頭を撫でられて茜君の腕の中でわたわたしてしまう。

わわわ、茜君の胸って意外に広い…!
というかなんだか甘い良い匂いが…って何考えてるの!
なんだか恥ずかしくなって顔が赤くなってしまう。
するとそれを見た茜君がまた可愛い〜!!と言ってさらにぎゅうぎゅう抱きしめてくる。
結局それは真淵さんが帰ってきて茜君を止めてくれるまで続いた。

◇◇◇◇
「トモちゃん、トモちゃんはそんなことしないと思うけど、極力夜出歩いたりはしないでね」
帰り際茜君が心配そうにそう言うのに俺は頷く。
「うん、夜に出歩いたりはしないよ、茜君こそ気をつけてね」
昼に聞いた話を思い出してそう言うと、茜君はぱぁ、と表情を明るくする。
「トモちゃん心配してくれるんだ…嬉しいなぁ」
本当に嬉しそうに言うからなんだか俺が恥ずかしくなってしまう。
「俺は大丈夫だよ、ありがと」
「う、うん…」

綺麗な笑顔を向けられてどぎまぎしてしまう。
うう、顔が熱い…!!
「それじゃ、明日ね」
「うん…」
くしゃ、と頭を最後に一撫でされて茜君とは家の前で別れる。
茜君は駅までなんだけど、帰りは必ず家まで送ってくれる。
悪いと思ったんだけど、茜君は自分がしたいからって言ってもしかして迷惑?と哀しそうに言うから否定すればそれからずっと日課になっている。

俺はわざわざ今から駅の方に戻る茜君の背中を見ながら、まだ動悸の収まらない胸を感じていた。




101212
(俺も男だけど、ドキドキしちゃうんだよなぁ…)
(そろそろ眼障りだよねぇ…どうしよっかなぁ)


次はちょっと暴力表現が入るかも?です
まあ例のごとくぬるいものですが苦手な方はご注意をお願いします