とてもナイーブないきものです 3 | ナノ
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とてもナイーブないきものです さん


俺は正直学校なんて行くのめんどくさいと思ってたけど、高校は毎日来ようかな、って思ってる。
だってさ、トモちゃんがいるんだったら高校も楽しいと思わない?

◇◇◇◇
俺は柏木茜、まあ一応オークの総長やってる。
ていうかこれ、もともと俺の親父が作ったのをいつのまにか俺が引き継いだ、みたいな感じになってただけなんだけど。
ま、色々都合がいいからそのまんまにしてる。
高校はどこでもいいや、みたいな感じだったから校則が緩い荒高に決めた。
正直通うつもり全然なかったし。
だから入学式も面倒になってクラスだけ見たら帰ろうと中庭で寝てたんだ。

◇◇◇◇
「嫌だあああああ!!」
イイ感じに寝てたのに、誰かの声で眼が覚めちゃった。
時計見たらまあもうそろそろクラス先生から聞き出しても良いころかなって時間だったからそんなにムカつかなかったけど。
でも一応起こした奴の顔ぐらいは見とこう、と思って声の方へ行ったら。
そこにはぽかんと俺を見上げる、普通に見える生徒がいたんだ。

よく観察したら、眼すっごいうるうる。
なんか全体的にちっこいし、小動物、て感じ。
俺、ちっこくて可愛い生き物大好きなんだよね〜
取りあえず眼の前にしゃがみこんで声をかける。
ちっこい生き物って同じ視線で接してあげないと怖がるんだよね。

そしたら安心したのか泣きだしちゃって。
慌てて抱きしめてあげたら俺の胸に縋って泣くの。
俺さあ、普段はこびてくる女や男、後ぶちのめした奴が泣いても何にも思わないんだけど、なんかこの時はすっごい焦っちゃった。
だって小動物が怯えてるんだよ?
そりゃ抱きしめて安心させてあげなきゃでしょ!

で、落ち着いたとこで自己紹介。
小動物な感じのこの子は川島智広っていうんだって。
トモちゃん、と呼んだらこっち向くのに自然と笑顔になる。
必死にいかに不良が怖かったのか話すトモちゃん。
その様子をほのぼのとした感じで俺は見てる。
俺も不良になるのかな?
折角トモちゃんが懐いて来てくれたのに、怯えさせて逃げられるのは嫌だなあ。
これからはトモちゃんの前では大人しくしよっと。

時間がイイ感じになったのでクラスを見に行こう、とトモちゃんに言う。
トモちゃんと同じクラスにするように、軽く先生に言っときたいし。
怯えたのかまた涙目になるトモちゃん。
可愛いんだけど、これから一緒のクラスでいるためにも行かないとね。
「だ〜いじょうぶ!トモちゃんは俺が守るから!ね?」
にこっと笑って言えばトモちゃんは迷ったような表情をする。
「茜君…でも…」
う〜ん、あ、これならどう?
「怖いなら俺の傍にひっついてたらいいから、ね?俺もトモちゃんと同じクラスか確認したいから、行こ?」
そうだよ、それなら俺もトモちゃんとくっついてれるし、一石二鳥!
ようやく頷いてくれたので早速向かうことにする。
あ、トモちゃんの手ちっちゃいなぁ。
触ってみたくなって手を繋いだら、トモちゃんも握り返してくれる。
こんなにイイ気分なの久しぶりだな、と思いながら俺は上機嫌で体育館に向かった。

◇◇◇◇
ぎゅって手握って俺の後ろにくっつくトモちゃんは、すっごい可愛い。
ちょっとまた涙目になっちゃてるし。
このまま一人にしてたら絶対悪い誰かにさらわれちゃう!
よし、決めた。
トモちゃんは俺の!
俺のものに手出す馬鹿はこの学校にはいないだろうし。
後で皆にちゃあんと言っとかなきゃね。

トモちゃんとゆっくり歩いてたけど、すぐについちゃった。
もっと遠くてもよかったのにな。
すぐに終わらせよ、とドアを開けると中は煩い。
汚い野太い男の声なんて聞きたくないよね。
片っぱしからぶっ飛ばしてやろうかな、と思ってたら手に微かな振動。

振り返るとトモちゃんがぶるぶる震えてた。
わわわ、怖いのかな。
すっごいぶるぶるしてて可哀相。
見てる俺もなんだか哀しくなっちゃう。
ぶっ飛ばそうかと思ってたけど、トモちゃんが怖がるといけないからやめとこ。
それにこんな状態のトモちゃんを一人になんてできないよね。

取りあえず舞台に登れば誰かうちの連中が気付くだろ、と舞台に向かうことにする。
舞台に向かう途中もトモちゃんは怖いのか必死に俺にくっついてくる。
握り締めた俺の手にぴったりくっつくトモちゃんはとっても可愛い!
早く教室で思う存分トモちゃんを撫でてあげたいな、と思う。
きっとトモちゃんの触り心地、最高だろうな。

舞台についたら馬鹿が一人向かって来た。
俺一人なら別にいいけど、トモちゃんに当たったらどうするつもり?
ムカついたからちょっと強めに蹴ってやる。
そしたら壁にぶつかってでかい音。
しんとして俺に注目してるし、ついでに言っちゃっていいよね。
「…あのさぁ、煩いんだよね」
俺のトモちゃんが怯えちゃってるじゃん。
ほんとムカつくなあ。

「大人しくしてくんない?ま、どうしても暴れたいっていうなら俺が相手してやるけど」
誰かやる?
多分俺が誰か分かったのかな。
俺と視線が合うと皆顔真っ青。
ビビるくらいなら怒らさないでくれるかなあ?
ほんとうっとおしい。
「じゃ、もう大人しくしといてくれる?」
ていうかしないならぶっ飛ばすけど。

怯えちゃったトモちゃんを安心させるように笑いかけて声をかけると、ようやく身体からトモちゃんが力を抜く。う〜ん疲れちゃったかな?
だったら早くクラスに行ってゆっくりさせてあげなきゃね。
「あ、クラスだったよね、ね〜先生、俺とトモちゃんって同じクラスだよねぇ?」
「っひいいっ!か、柏木君っ!!」
舞台の隅でビビってる先生に直接質問するけど、先生はビビっちゃってて中々答えない。
めんどくさいなあ、サッサと答えなよ。
「せんせ、聞いてんの?俺とトモちゃん、同じクラスだよね?」
一歩近寄って冷たい視線で見下ろすと。
「っああ!!もちろんだよっ!!」
真っ青な顔で何度も先生は頷く。
初めっからそう言っときゃ良かったのに。
「何組〜?」
「び、Bだよ」

クラスも聞いたし、もう用は無いや。
「んじゃトモちゃん、行こっか」
手を握ってそう言えばトモちゃんは頷く。
やっぱりトモちゃんは可愛いなあ。
今度も俺の陰に隠れるようにして校舎に向かうトモちゃんに機嫌が良くなる。
あ、そうだ、どうせならクラスも身内で固めた方が安心だよね?
「せんせ、うちの連中も同じクラスだよね?これから3年間、よろしくねぇ」
そうしろ、という意味を込めて言えば理解したのか真っ青になるけど。
別にそうするなら大人しくしててあげるんだから、安いもんでしょ?

「あ、茜君?」
「ん?なぁに?」
くい、と繋いだ手を軽く引っ張るトモちゃんはもう最っ高に可愛い!!
もじもじしてるけど、なんでも聞いていいよ?
トモちゃんになら何だって教えてあげる!
「あのさ、さっき茜君不良をぶっ飛ばしてたけど…ま、まさか、ふ、不良、だったり…」
あ〜やっぱり気になっちゃう?
ん〜でもトモちゃんに嘘付きたくないし。
怖がらせないように大事に大事にしたらいっか。
「俺、一応オークの総長なんだよねぇ、だからそうなっちゃうかな?あ、でもトモちゃんは俺が絶対守るから安心してね」
トモちゃんは優しく甘やかしてあげる。

「これからよろしくね、トモちゃん」
明日からは学校に来たら毎日会えるんだもんね。
可愛いトモちゃん、これから俺がたっぷり甘やかしてあげる!
明日からが楽しみだなあ!




101128
(トモちゃん可愛いなぁ!)


茜はチャラい見た目をイメージしてるので結構書きやすいですね
小動物系のトモちゃんにもうデレデレです(笑)