とてもナイーブないきものです 2 | ナノ
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とてもナイーブないきものです に


「そっかぁ不良が怖くて逃げて来たんだ?」
「そ、そうっ!すっごい怖かったんだよっ!!」
さっきまでの出来事を説明すると茜君はよく頑張ったね〜と言って俺の頭を撫でてくる。
何でも茜君はサボってここで寝てたから知らないんだって。
それを聞いてちょっとビビったら茜君は昨日寝不足でついね、と言ったので今は普通に接してる。
だって茜君、背は高いけどそんなにがっしりしてるみたいに見えないし、不良だとしてもそんなに怖い不良じゃないと思うんだ!
しかもすっごく優しいし。

「ん〜でもトモちゃん、クラス発表が多分もうそろそろだから見に行かないとね〜」
余談だが茜君は俺をトモちゃんと呼んでいる。
茜って呼んでくれていいよ、むしろ名前で呼んで欲しいな、と言われたけど、さすがに呼び捨ては慣れないので茜君と俺は呼んでいる。
そんな茜君の発言に俺はビビりまくる。
「ええっ!そ、そんなっ!!ま、またあそこにっ!?そ、そんなの俺、無理だよ…」
あの暴力飛び交う空間に戻るなんてっ!!
今度こそ俺、死んじゃうよおおおおお!!

恐怖のあまりまたも涙目になると、茜君が優しく頭を撫でてくれる。
「だ〜いじょうぶ!トモちゃんは俺が守るから!ね?」
うっ!さすがイケメン!!
男の俺でもドキッとしてしまう笑顔でなんてカッコイイ事を!!
「茜君…でも…」
「怖いなら俺の傍にひっついてたらいいから、ね?俺もトモちゃんと同じクラスか確認したいから、行こ?」
た、確かにクラスを確認しないといけないし…茜君もこういってくれてるし。
大丈夫、だよな…?

俺はまだ正直ビビってたけど、茜君がいてくれるって言うし、と頷いた。
茜君はじゃ、行こ、と俺の手を握って歩き出す。
ちょっと恥ずかしいけど、怖いんだから仕方ない!
俺はびくびくしながら茜君の後ろにひっつくようにして体育館へ向かった。

◇◇◇◇
体育館はまだ乱闘騒ぎの真っ最中だった。
ていうかもう凄いことになってた。
床には投げられたのかパイプ椅子や不良が倒れてるし、ひいい血が出てる人もいるよおおお!!
俺は扉を開けた途端広がるその光景にガクブル状態。
繋いでいた手から俺の震えを感じ取ったのか茜君が振り返ってくれる。

「トモちゃん、大丈夫?」
「あ、茜君…お、俺、俺…」
正直今すぐ帰りたいです!
涙目?号泣しないだけ進歩したと思ってくれええええ!!
そんな俺を見て眉を下げた茜君は優しく俺の頭を撫でてくれる。

「怖い?ごめんね、すぐ黙らせるから」
だからちょっとだけ我慢してね、と言ったかと思うと茜君は舞台に向かう。
ひいいいいいい!!!
ちゃんと乱闘を避けて行ってくれるんだけど、怖いものは怖いいいいいい!!!
ようやく舞台下に着いた時にはもう俺の魂はどこかに旅立つ寸前。
不良、怖い…。

と、舞台近くで喧嘩していたうちの一人が俺達に気付いたようでこっちに近寄ってくる。
ひいいいいいい!!!!あの人殴る気満々ぽいんですけどおおおお!!!
死ぬ!俺一撃で死んじゃうから!!
「トモちゃん、ちょっとだけ手、離させてね」
そっと大きな手を離して茜君はガクブル状態の俺を背後にかばってくれる。
うううありがとう茜君!!
でも茜君も殴られるんじゃ!?
逃げた方が、と俺が口を開こうとした時、不良が茜君に向かって拳を振り上げた。

あ、という間もなく、不良は吹っ飛んだ。
………え?
ガンッ「ぐはっ!!」
壁に勢いよく不良がぶつかった音が体育館中に響き渡り、全員の視線が音のもとへ集まる。
つまり、茜君の。
え、て言うか今の、え?

茜君が不良をぶっ飛ばした?
あの、茜君が?
一撃で?
固まり静まり返る空気を破ったのは、この空気を作りだした張本人。
「…あのさぁ、煩いんだよね」
茜君の声はなんだかさっきより低い。
ていうか、なんか雰囲気が、違う…?

「大人しくしてくんない?ま、どうしても暴れたいっていうなら俺が相手してやるけど」
誰かやる?
という茜君の冷たい声に反応する人はもちろんゼロで。
凍ってしまった空気に俺ももちろんビビっちゃってて。
「じゃ、もう大人しくしといてくれる?」
それだけ言うと茜君は俺に振り返る。
俺は思わずびくっとしてしまう。

「ごめんねトモちゃん、怖かった?もうだいじょぶだよ」
にっこり笑って茜君は俺の頭を優しく撫でてくれる。
ようやく怖い雰囲気が解けて俺はほっとする。
「あ、クラスだったよね、ね〜先生、俺とトモちゃんって同じクラスだよねぇ?」
「っひいいっ!か、柏木君っ!!」
部隊の隅でビビってる先生に茜君は直接質問するけど、先生はビビっちゃってて中々答えない。

「せんせ、聞いてんの?俺とトモちゃん、同じクラスだよね?」
一歩近寄ってそう茜君が聞くと。
「っああ!!もちろんだよっ!!」
真っ青な顔で何度も先生は頷く。
「何組〜?」
「び、Bだよ」
そ、と言って茜君はまた俺と手を繋ぐ。

「んじゃトモちゃん、行こっか」
上機嫌な茜君の言葉に俺は頷く。
今は大人しくなってるけど、周りは不良だらけだぞっ!?
一刻も早くこんな怖いとこからは離れたいっ!!

今度も茜君の陰に隠れるようにして校舎に向かう俺を嬉しそうに見ながら歩く茜君は、そうだ、と足を止めずに口を開く。
「せんせ、うちの連中も同じクラスだよね?これから3年間、よろしくねぇ」
その言葉に真っ青になる先生を不思議に思い、俺は茜君にさっきから気になっていたことを質問することにした。
「あ、茜君?」
「ん?なぁに?」
くい、と繋いだ手を軽く引っ張ると茜君は嬉しそうに笑いかけてくれる。
俺はその優しい笑顔に押されるようにして質問した。

「あのさ、さっき茜君不良をぶっ飛ばしてたけど…ま、まさか、ふ、不良、だったり…」
しないよね?という期待を込めた俺の視線を受けて茜君はにっこり笑う。
やっぱり違うよね、とほっとしかけた俺の耳に入って来たのは。
「俺、一応オークの総長なんだよねぇ、だからそうなっちゃうかな?あ、でもトモちゃんは俺が絶対守るから安心してね」
満面の笑みでの不良、しかも総長というカミングアウト。

こちんと固まる俺に構わず茜君は上機嫌で俺を教室へ引っ張って行く。
オークって確か一番ここらへんで強いグループだよね?
しかもその総長って超強くて、かっこいいけどキレたらヤバいって有名だよね?
その人と俺、今手繋いでるの?
「これからよろしくね、トモちゃん」

にっこり笑う茜君に、もう許容量を超えた俺は力なく笑い返すしか出来なかった。




101124
(高校入って初めて知り合ったのが最強不良なんて!!誰かあああああ!!!!)
(トモちゃんってば混乱しちゃって、可愛いなぁ)
(あ、あの柏木さんが手を握ってたぞ!?あいつ何者だ!?)

攻め視点も書こうかな…
ちなみにオーク=柏です
なんてネーミングセンスが無いんだ(笑)