5m 5000記念 | ナノ
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距離5m:sideM


「古川、この映画見に行かない?」
東が昼休みに雑誌に載っていた映画の一つを指してそういう。
「いつ行く?松川はいつならいい?今日の放課後はどう?」
「へ!?俺も?」
「松川も観たいって言ってたじゃん。どうせなら一緒に行こうぜ!」
古川は普通の笑顔だけど、東がちょっと怖い笑顔なんですけど!
結局俺は古川の誘いを断ることが出来ず、映画に行くことになった。
東と名護が目配せしてたのが非常に不安なんですけど…。
はじめてくる映画館で、ちょっと周りを見ていると東が名護とチケットを買う、と言って行ってしまった。
よりにもよってその二人で買いに行くなんて…不安を感じる。
そんな俺に古川が爆弾発言をした。
「ま、松川はさあ、男にドキドキすることってある?」
「へっ!?」
「お、俺さあ最近東にドキドキしちゃうんだけど、これって変かなあ?も、もしかして何か病気なのかなあ?なあ、松川はどう思う?」
恥ずかしいのかうつむいたまま一気に言い切る古川。
「えっ、どうって、ええと、古川、もしかしてその、それって…」
どう考えてもい、意識してるっていうか、もしかして好きってことなんじゃ…!?
照れる古川につられて微妙に顔を赤くしながらも、とりあえずもっと詳しく聞こうとしたとき東達が戻ってきた。

「ごめんね、間違えて二人ずつ分かれて観ることになっちゃたんだ」
「悪いな」
「お詫びに飲み物とかおごるよ。古川は何がいい?」
どう間違えたらそうなるの!?二人とも絶対悪いとか思ってないよな!?
しかも東と古川、俺と名護にいつのまにかもう分けられてるし!?
「松川って確か紅茶系好きだったよな、レモンティーでいいか?」
「えっ!?あっうん?」
古川のことを気にしていたらいつの間にか売店で名護が俺の分と自分の分にアイスコーヒーを買っていた。

「それじゃ終わったら集合で」
時間も迫ってきているということで二人ずつで席に向かう。
が、なぜかかなり後ろの方に俺と名護は向かう。
「ここ」
画面はまあ見やすい席が、後方のため周りに人はいない。
「あ、ありがと」
中央側に俺を座らせてくれる。席につくとちょうど暗くなり、映画が始まったのでそれ以上俺達は会話はせず、画面に集中した。

本編が終了すると人が出て行き始める。俺はいつも明るくなるまで見ているのでエンドロールをぼうっと見ていた。
「おもしろかったか?」
近くで聞こえた声にハッとする。そうだ、名護がいたんだった。
横を見ると名護は微かに笑って俺をじっと見ていた。
その表情にドキッとする。い、イケメンの笑顔は心臓に悪い。
「う、うん。あっちの二人はどこにいるんだろな」
視線をそらせてそう言う。名護の眼って力があるから見てるとドキドキしちゃうんだよな。

「ああ、あいつらな。ま、もうちょっとかかるんじゃないか」
付き合うまで、とさらっと付け足され、思わず聞き返す。
「や、やっぱりそうなんだ?東結構あからさまだもんな…」
しかも古川もまんざらじゃないみたいだし、と思う俺に、名護は問いかけてくる。
「抵抗とかあんの?親友が、って」
「う〜ん…俺は、古川が幸せだったら応援するかな」
大変かも知んないけどさ、大切なのは本人だろうし、と名護に笑いかけると、ふ、と笑った名護が俺も、という。
その表情がまたカッコよくてドキッとする。だ、大丈夫か俺!?

「あ〜…俺もヤバいかもな…」
気を紛らわせようとレモンティーを飲んでいた俺を見て名護が呟く。
「え?何が…」
名護の方を向いた俺に苦笑した名護が一気に身体を近づけてくる。
驚いて反応が遅れた俺に、さらに名護は身を屈めてくる。
わ、睫毛長…ていうか近すぎ…?
「んむっ…………んんんっ!?」
え?超至近距離に、名護?
あれ?口になにか当たって……ていうかキスですよねこれえええええ!?

「んむぁ………んむぅぅぅぅ!?」
い、今なんかぬるって!し、舌が絡め取られてるんですけどおおお!?
ひぎゃああく、口の中に名護の舌がっ!
しばらく好き勝手してから名護はようやく俺を解放する。
つやつやと光る唇を俺は茫然と見る。頭は真っ白だ。
「…俺さあ、松川のことたまにぐちゃぐちゃにしてやりたくなんだよな」
ぐ、ぐちゃぐちゃ!?
「今までこんなこと感じたこと無かったんだけどさ、松川にはいろいろ思うわけ」
い、いろいろって何!?
「まあつまり俺も結構本気だから、覚悟しとけよ、っつーこと」
にや、と笑って唇をぺロ、と舐める名護を見た瞬間、ようやく頭が活動を再開する。
「〜!!?」
言葉に出来ずに、真っ赤な顔で口をパクパクさせるだけの俺に、もう一度名護が笑いかけたとき、ちょうど明るくなる。
俺は出口に即行した。
「〜っ、あ、ま、松川!」
後ろからついてくる名護の顔が見れない。な、何を考えてるんだこいつはっ!!
「ま、松川?どうし…」
不思議そうな古川に説明なんてする余裕はない。とにかく一刻も早くここから脱出したい。
「お、俺もう帰るっ!ふ、古川も帰るよな!?じ、じゃあお先にっ!!」
「あ、松川!?ひ、東に名護、また学校でな!」
俺は古川の返事も聞かずに腕を引っ張って歩き出す。
必死にあの感触を頭から追い払おうと脚を動かし去っていく俺に、名護が満足げに笑っていたことを俺は知らなかった。




101006
(は、初めてがディープキスって…!!)

5000hit記念はこの二人でした!最初のシリーズなのでコメントで気になる、と言っていただけて嬉しかったです!
これからもよろしくお願いします!