革命前夜



あれから一年。影華とリクオは4歳になっていた。


「影華っ」
「兄さん」


離れの自室で本を読んでいた影華にリクオは開いていた窓から顔をのぞかせて声をかけた。


「どうしたの?」
「父さんがね、散歩に行かないかって」


にこにこと満面の笑みで誘うリクオに影華は苦笑する。
鯉伴はリクオの誘いを影華が断らないと知っていてリクオを来させたのだろう。影華が黙っていると、リクオが不安そうに聞き返してきた。


「ダメ?」


首を傾げるリクオに影華はため息を吐いて是と消すのだった。










影華は鯉伴とともに、先に行ったリクオを探していた。


「お父さーん」


とある神社でリクオは遊んでいた。こちらへと手を振っている。影華も振り返そうとして、彼の傍らに少女がいるのに気付いて息を呑んだ。

強い風に木々が揺らめき、ざわざわと音が鳴る。薄紅や黄色の花弁が舞い散る。


「っ」
「影華…?、リクオ、その娘は……」
「お父さん!遊んでくれたの、このお姉ちゃんがっ!」


無邪気に笑うリクオ。
穏やかに微笑む白黒の少女。

少女は鯉伴が今でも忘れられない前妻と瓜二つ。

影華は父とつないでいた手を強く握った。
モノクロの少女を見つめる目が細められ、銀が煌めいたのを見たものはいない。







第三章 分岐への道筋



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