妖怪屋敷と幼き姫



目が見えるようになってから数日が経った。ぶっちゃけ、耳は元から聞こえていたわけだけど…。そして、意識なんつうもんまではっきりしてきた所で問題がある。
1つ目、体が思うように動かない。喋れないことも此処に明記しておこう。
2つ目、見覚えのない場所で寝ていたこと。純和風な造りの部屋で、布団の上に寝かされていた。
そして3つ目、これが大問題なんだが…。目に見える大小様々な人間ではない姿の″モノ″達がいること。人間に見えても髪色や瞳の色が違う、首がない、服のなかから武器が見える。一体ここは何処なんだろうか。

"妖怪屋敷"

その言葉後がぴったりなこの場所で、なぜ自分は呑気に寝ていられたのか。心底不思議である。
数名見たことがあるような気もするが、断固として勘違いであることを願います。それはもう切実に。


「二代目、お嬢が起きましたよ」
「おう」


障子越しの会話が不意に聞こえ、そちらに顔を向けた。
しかし、その瞳は目一杯まで見開かれる事となった。


「影華、お前さん寝すぎだ」


突然訪れた浮遊感。視界には整った容姿の男の人。
その人は
見たことのある所じゃなく、憧れていた本人そっくりで。自分の目を疑った。だって彼は現実の人じゃなかったから。


「ふぎゃぁぁぁぁあ(どうなってんのぉぉぉ)!!??」


かくして、黒須影華は、奇妙な第二の人生を送ることになったのである。

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