帰還と再会
現代に戻った影華は、頭ボーッとする中、両手を握って開いてを繰り返した。次第にはっきりとしてきた頭で、数百年前に残してきた組の奴らと相棒が浮かんだ。
「“紅龍”」
刹那、淡い光が辺りに満ち、消えたときには膝の上に90p以上もある大太刀があった。シンプルな黒い鞘の妖刀、紅龍(クリュウ)。
「またよろしく頼むよ」
一撫でして微笑うと、刀からは嬉しそうな意志が伝わってきた。
暫く部屋の中を見回して、違和感に気づく。
数百年前までいた自分の組の自室と全く同じなのだ。首を傾げていたその時襖が開いた。
「「……」」
「目が覚めたのじゃな」
「東雲……?」
人形をとっている冬槻、着物を着た妖艶美女東雲(シノノメ)、着流しの美形青年黄昏(タソガレ)。三者三様の反応を示した。
冬槻は呆然としたまま立ち尽くし、東雲は九尾を嬉しそうに揺らしながら微笑う。黄昏も無表情であったが、狐耳がピクピクと動いていることから喜んでいるようではある。
「半年も目が覚めぬから、心配しておったのじゃぞ」
「半年……」
彼女の言葉に黄昏も頷く。2人が布団の近くに座った頃、ようやく冬槻が我に返り文句を言おうした。
「主っ「ただいま、冬槻」っ!!」
にっこりと笑った影華に冬槻はそれ以上声を荒げられず、泣きそうなしかし嬉しそうな表情で一言“お帰り”と言ったのだった。
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