現状把握



大泣きして鯉伴さんや周囲にいたもの達を困らせたあの日から数ヶ月。
私は何とか現状を受け入れる事に成功した。
説明するならば、ここは"ぬらりひょんの孫"の世界であり、俄には信じがたいが現代で死んだ自分がこの世界に転生したわけである。私こと黒須影華は奴良家の養子になったらしい。
リクオとじゃれていたときに、小妖怪達が言っていた。
何でも私の両親は質の悪い妖怪に殺されたらしく、生き残った私を鯉伴さんが拾ったとか。
正直、その時はまだ意識も朦朧としていておぼえていないのだが。
この数ヶ月のことを思い出していれば、隣で寝ていた義兄リクオが起きたようだ。

「ふぇ〜〜っ」

泣き出したリクオに私は慌てた。若菜さんも鯉伴さんも手が離せない状態らしい。先程、小妖怪が言っているのを聞いたのだ。


「ふぇぇぇぇっ」


本格的に泣き出したリクオに私はため息を吐いた。
寝ていた身体をコロンと起こして、リクオにハイハイで近付く。


「りうお、りうお」


ああ、やっぱりまだ舌がちゃんと動かない。
しかし、呼び掛ければリクオはピタリと泣き止んだ。こちらをじっと見つめていたかと思うと、途端にぱぁっと花が咲いたように笑った。
きゃっきゃっとはしゃぐリクオを見て思わず頬が緩む。
可愛いなぁ…。


「りくお」


あ、ちゃんと言えた。
刹那、スパァァーンと襖が勢い良く開いた。ビクリと一瞬硬直して振り返れば、そこには父鯉伴の姿が。


「影華、お前ぇさん………」
「………」


ああ、これは面倒くさそうだ。
私はふいと顔を背けて、リクオに抱きつく。リクオが苦しそうだとか、そんなの気にしない。


「二代目、そんなところにつったってどうしたんですか」「あ、ああ、首無。今喋ったんだ、影華が……」「えっ!?」「あら、そうなんですか?じゃあ、今日はお赤飯にしましょうか」「若菜様っ!?」



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