第五章 魔法薬の先生



「はい、わかりました。
モンクスフードとウルフスベーンの違いについてですが、これら二つに違いはありません。同じ植物のことです。別名をアコナイトとも言い、トリカブトのことです。
ちなみにマグルでは魔術の女神ヘカテーを司る花とされ、庭に埋めてはならないとされています。また、ギリシア神話では、地獄の番犬と言われるケロベルスのよだれから生まれたともされており、狼男伝説とも関連付けられています。

雑学ではありますが、ギリシア神話ではケロべロス――三つ頭の馬鹿でかい犬のことですが――は三つ頭が交代で眠りますが、音楽を聴くとすべての頭が眠ってしまいます。他には菓子を与えるのもいいとか。
ああ、そういえばトリカブトのことですが、採集時期及び地域によって毒の強さが異なります。食べると嘔吐、呼吸困難、臓器不全などから死に至ることがあります。摂取後数十秒で死亡する即効性があり、半数致死量は0.2〜1グラム。トリカブトによる死因は、心室細動ないし心停止…心臓が止まることによるものです。
また、芽吹きの頃にはセリ、ニリンソウ、ヨモギ等と似ているため、誤食による中毒事故もあります。またこれほどにまで毒性に長けたトリカブトですが、極東の国では漢方薬としても使われ、強心作用、鎮痛作用があります。しかし―――」
「もうよい…」


頭が痛いと言わんばかりに、スネイプ教授は頭を抱えてしまった。


「このままでは授業が進まんだろう?Mr.ポッター。そもそも、私は違いを聞いたのだがな」
「…すみません、教授」
「まあ良い。その年齢でその知識量は称賛に値する。レイブンクローに五点やろう。もう一人のポッターとは雲泥の差だ。
…諸君、なぜ今のポッターの答えを書き取らんのかね?」


驚愕の表情から一転、一斉に羊皮紙と羽ペンを取り出す音がした。その後の授業はさすがというべきか。レイブンクローとハッフルパフは目立った失敗をすることもなく授業は終わった。
そういえば、今日はハグリットからのお誘いで、ハリーとロンが銀行強盗を知る日ではなかっただろうか。まあ、興味もないし手を出すつもりはないから勝手にやってくれて構わないのだが。
昼食を食べながら、そんなことを思った。それというのも、いつものごとくレイブンクローで食べているリヒトが日刊預言者新聞を持ってきたからなのだが。


「おーい、ギル。お前午後から何すんの?」
「そうだな。とりあえず、スネイプ教授のところにお邪魔するつもりだ」
「…まじかよ」
「マジだ。…教授はあれでからかうと面白いんだぜ」


ニヤリとニヒルな笑みを浮かべるギルバートに、リヒトは頬をひきつらせた。ジャンは反対隣りに座っていたマイケル・コーナーの質問に答えており、こちらの会話は来ていないようだった。

その後、ギルバートの言葉通りにスネイプ教授のところに三人はお邪魔するのだった。



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