第五章 魔法薬の先生



なんといっても一番退屈なのは「魔法史」で、これは唯一、ゴーストが教えるクラスである。ビンズ先生は昔、教員室の暖炉の前で居眠りをしてしまい、そのときすでに相当の歳だったのだが翌朝起きてクラスに向かうのに生身の体を教員室に置き去りにしてしまったのだそうだ。
生身の体を忘れるということは、まったくもってギルバートには理解しがたいことであった。
彼の物憂げで一本調子の講義のせいで、生徒たちは名前や年号をノートにとりながら、うっかり悪人エメリックと奇人ウリックを取り違えてしまったりするのだった。レイブンクローの生徒でさえも、彼の授業が終わった時には気だるそうに動くのだ。彼の声には何かしらの魔力があるのではないかと、三人は笑った。

「妖精の呪文」は我らが寮監でもあるフリットウィック先生の担当だった。ちっちゃな魔法使いで、本を積み上げた上に立ってやっと机越しに顔が出るほどだった。最初の授業出席をとっている際に、ミトニッタの名前を見つけて興奮し、声を上げたとたん転んで姿が見えなくなったそうだ。レイブンクローでの授業についてはノーコメント。

そして、やはりマクゴナガル教授の授業はほかの先生とは違っていた。


「変身術は、ホグワーツで学ぶ魔法の中で最も複雑で危険なものの一つです。いい加減な態度で私の授業は出て行ってもらいますし、二度とクラスに入れません。はじめから警告しておきます」


それから教授は机を豚に変えて、また元に戻した。それからは散々複雑なノートを書き取った後に一人ひとりにマッチ棒が配られ、それを針に変える実習が始まった。
ギルバートはすぐにマッチ棒を針に変えるとまた戻した。一瞬のことであったが、隣に座っていたジャンにはしっかりとみられていたようで、珍しく驚いた表情をしていた。それから次々とマッチ棒は姿を変えた。針山、釣り針、マチ針、羽ペン、生花のバラetc.・・・。
ジャンは珍しく苦戦しているようで、だんだんとマッチ棒を見る目に殺気が混じっていることに気づき、ギルバートは苦笑した。彼ら三人は結構優秀なのだ。


「おい、ジャン」
「なんですか」


むすっと、憮然とした表情で彼は変えされ、ギルバートは吹き出しそうになった。


「ちゃんとイメージは頭の中にあるか?」
「イメージ、ですか・・・」
「ああ。理論を頭の中に叩き込んでも、その対象が姿を変えるところをしっかり想像できなけりゃ変わんねえぞ。大体こういうののコツはイメージだよ」
「ならば、Mr.ポッター、何かやって見せなさい」
「Yes Professor」


にやりと笑い、ギルバートは杖を構えた。そして一振り。



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