第四章 組分け帽子



ともかく、レイチェル基ギルバートは四本脚の丸椅子に座り帽子を被らされた。帽子で目の前が見えなくなる寸前、リヒトとジャンが見えた。彼らは興味津々にこちらを見ていた。帽子はレイチェルにとって大きすぎて、目の前が真っ暗になった。


『おや。君は生き残った女の子ではないかね?なぜ男子制服を?』
「(事情があるんだよ。他言無用で頼む。……それに“かくれんぼ”も楽しそうだろう?)」
『ふむ、よかろう。苦労を惜しまず知識欲も素晴らしい。目的のためには手段を択ばない狡猾な面もあり、それを必要だとも納得している。勇気と忍耐……おお、好奇心旺盛な面もあるのう。……はてさて、これは難しい。今までで一番難しいやもしれん。……ふーーむ』


頭に響く帽子の声は本当に悩んでいるようだった。


「(一人部屋になれる寮はないのか?)」
『レイブンクローかスリザリンじゃろう。君の正確からすると、スリザリンのほうがレイブンクローよりかは向いておるだろうがのう』
「(だが断る。つーことで、レイブンクローな)」
『ふむ、それもよかろう。だが、グリフィンドールはどうかね?いやいや、考えるまでもなくグリ――』
「(グリフィンドールに入れたら、お前を消し炭にしてやろう)」
レイブンクロォォォォォオ!!
「(ありがと。もう一人のポッターはグリフィンドールにな)」


最後にそう言い残してするりと椅子から降りた。同じ寮になったジャンクロードの隣に座り、スリザリンに組分けされたリヒトに手を振る。彼は仕方ないとでも言うように、苦笑していた。
この時、リヒトとジャンの心中は重なっていた。曰く。


「(確実に帽子脅したな/ましたね)」


である。この短時間で彼女をよほど理解したと見える。


「ポッター・ミトニッタ」


レプリカ基ミトニッタ・ポッターはギルバートのことを信じられないという目で見ていた。しかし、名前を呼ばれるとおずおずと前に進み出る。先ほどと同じように大広間は水を打ったように静まり返り、さざ波のように騒ぎ出した。ミトニッタは満足そうだ。もてはやされて気分がいいのだろう。ギルバートは帽子と彼女が話しているのを、物思いにふけりながら見ていた。
ミトニッタの容姿はまんま原作ハリーだ。違うことといえば、髪が少し長いくらい。彼女は原作通りグリフィンドールへと組み分けされた。彼女自身不満そうではあるが、ウィーズリーの双子に話しかけられて気分は上昇したようだ。
一瞬目が合い睨まれるも、にこりと笑ってやればそそくさと視線を逸らす。その頬が染まっているのは見なかったことにしよう。


「馬鹿だなぁ」


ひそかにこぼされた嘲笑は歓声にかき消される。






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