第四章 組分け帽子



ボートに乗り込み湖を渡り、樫の木の扉の前がパッと開いた。中から出てきたのは、エメラルド色のローブを着た背の高い黒髪の魔女だ。とても厳格な顔つきをしている。
マクゴナガル先生に従って、生徒たちは石畳のホールを横切って行った。

入口の右手の方から、何百人ものざわめきが聞こえた―――全校生徒がもうそこに集まっているに違いない―――しかし、マクゴナガル先生はホールのわきにある小さな空き部屋に一年生を案内した。生徒たちは窮屈な部屋に詰め込まれ、不安そうにきょろきょろしながら互いに寄り添って立っていた。


「ホグワーツ入学おめでとう。
新入生の歓迎会がまもなく始まりますが、大広間の席に着く前に、みなさんが入る寮を決めなくてはなりません。寮の組み分けはとても大事な儀式です。
ホグワーツにいる間、寮生が学校での皆さんの家族のようなものです。教室で寮生と一緒に勉強し、寝るのも寮、自由時間は寮の談話室で過ごすことになります。

寮は四つあります。グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンです。それぞれ輝かしい歴史があって、偉大な魔女や魔法使いが卒業しました。ホグワーツにいる間、みなさんの良い行いに対しては、自分の属する寮に得点が与えられますし、反対に規則に違反したときは寮の原点になります。学年末には、最高得点の寮に大変名誉ある寮杯が授与されます。どの寮に入るにしても、皆さん一人ひとりが寮にとって誇りとなるよう望みます。

間もなく全校生徒、職員の前で組み分けの儀式が始まります。待っている間、できるだけ身なりを整えておきなさい」


先生はそう言うと、ネビルのマントの結び目が左耳の下の方にずれているのに目をやり、続いてギルバートとリヒトの服装が緩いことに目をとめた。しかし、ギルバートはにっこりと、「これは規制です」と言わんばかりの笑みを浮かべて流したのだった。


「学校側の準備ができたら戻ってきますから、静かに待っていてください」


マクゴナガル教授は部屋を出て行った。それを皮切りに生徒たちは組み分けについて隣近所で騒ぎ出す。ロナルド・ウィーズリーが隣の黒髪の少女に、試験のようなものじゃないかと言っていた。


「おい、ギルバート。組み分けで何するか知っているか?」
「組み分け帽子ってのをかぶって、個人の資質によって寮に振り分けるんだろ」
「知ってんのかよ」


ぼそぼそと小声で話す二人に、周りにいた数人の生徒たちはほっと息をついた。
突然、周りの息をのんだ様子に、いぶかしげにギルバートは振り向いた。そこには、二十人ほどのゴーストがいた。

彼らは何やら議論をしながら通り過ぎようとして、新入生の存在に気付いたようだ。小柄で太った修道士は一方的に質問して生徒の二、三人が答えると扉をすり抜けて大広間に入っていった。その後、マクゴナガルがもどってきて新入生たちは大広間へと通されたのだった。




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