第三章 9と3/4番線からの旅



そういえば、マルフォイが後方車両から引き返してきたっていうことはレプリカに会ったのだろうか。
そんなことを考えていると、リヒトが話しかけてきた。


「なあ。ギルバートはどこの寮に入りたいんだ?」
「あ?」
「だから、寮だよ、寮!!」


ニシシと笑う彼は、先ほどの騒動など気にも留めていないようだった。


「ジャンはレイブンクローが良いんだと。代々スリザリンなのにケンカ売ってるようなもんだよなー」
「良いんですよ。兄がいるんですから家のことは兄に任せます。そういう、リヒトも純血家系と呼ばれる子たちを好んではいないでしょうに」
「そうなのか?」
「まあなぁ。父さんや爺様の時代の人たちならまだしも、俺らと同年代の奴らは等しく“純血貴族”を理解してないからな。腹立つぜ。スリザリンに入ってもなじめねえだろうよ」
「へえ・・・」


ギルバートは感嘆の声を漏らす。


「純血主義ってわけではなさそうだな、二人とも」
「あー、まあ、なんつーか・・・あほらしいんだよなぁ。確かに思想として大事にしていくことは良いと思うぜ?でもなぁ・・・」


リヒトの言葉に、再び膝の上でくつろいでいた黒猫はピクリと反応した。ギルバートはクスリと笑うと、その笑みのまま口を開いた。


「2人とは、仲良くなれそうだ」


エクリプスが非難の声を上げた。―――声といっても鳴き声だったが。
リヒトもジャンもニヤリと笑って、三人は拳を合わせた。



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