第三章 9と3/4番線からの旅



暫くして、原作通りハーマイオニーが来て、ネビルのカエルを捜索中であるという。知らないと答えておいたが、帰るときには少し赤くなっていた彼女を見て、レイチェルは首を傾げた。
それを見た二人が苦笑していた理由を、レイチェルはついぞ聞かされることはない。

二人が着替えている間、コンパートメントの外で壁にもたれて待っていると、プラチナブランドの髪をオールバックにしている少年が後方車両からやってきた。彼の後ろにはガタイの良い少年が金魚のフンのようにくっついている。


「(さしずめ、マルフォイ坊ちゃんとその子分ってところか)」


ちらりと見やってから目を閉じる。関わるのが面倒臭い。


「おい、お前」
「………」
「おい!!そこに立っているお前だよっ、片目!!邪魔だ。どけ」
「それは俺のことか?」


地を這うような低い声だった。
ビクリと肩を揺らした少年を視界に入れる。内心、自分でもこんな声が出るとは思っていなかったために驚くがそんなことどうでも良い。


「お前の瞳(め)は節穴か?オレがちゃんと片側に寄っているのが見えないのか」
「なっなっ…」


ゆらりと壁から背を離し、ゆっくりと彼と相対す。


「貴様はこの幅さえ通れないというほどに太っているのか?それとも自分は偉いとでも思っているのかい?」
「そ、そうだ。僕はマルフォイ家の息子だ。お前より――――」

ダンっ。


「黙れ」

 


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