第三章 9と3/4番線からの旅 バーノンおじさんに頼んで、キングズクロス駅に着いたレイチェルは、前世の知識と知っているように、壁を通り抜けてホグワーツ特急に乗り込んだ。その間エクリプスはフードの中にいた。 早めに送ってもらえるように頼んでいたので、列車はとても空いていた。 後ろの車両に行けば巻き込まれること必至なので、真ん中あたりの車両に乗り込み空いているコンパートメントに入った。 (今のうちに着替えよう) カーテンを閉めて、人がいないうちに制服に着替え始めた。制服は男ものだ。 例のごとく、レイチェルはホグワーツでも、男として生活するつもりだった。 “生き残った女の子”はポッター家の女の子としか知らされておらず、名前までは知らされていない。つまり、男の子のポッターは“預言の子供”ではない。と人間は思い込むものだ。 ズボンを履いて、Tシャツを脱ぎワイシャツを手に取った時だ。 突然、扉をノックされ、返事も聞かないうちに開いた。 「リヒトっ」 「大丈夫だっ―――」 入ってきたのは二人の男子である。 カーテンを閉めていたはずなんだが……と思いつつ、レイチェルはため息を吐いた。 「入るなら入って、扉を閉めろ。俺は他人に裸を見せる趣味はない」 後ろを向いて扉に背を向けてボタンを止め、ネクタイを緩めに締める。彼らは気まずそうに謝罪しながら入ってきた。最後にエクリプスの上に被せていたローブを羽織る。 エクリプスが“誰だ、こいつら”と視線で聞くがレイチェルは無視した。二人の向かいの席に座り相対す。少年たちはまっすぐとレイチェルを見ていた。 その瞳には、隠しきれない好奇心が頭をもたげて興味津々に写っていた 「で、君は女か」 闇色の髪の少年が聞いた瞬間、プラチナブロンドの髪の少年がド突く。 「いてぇっ」 「君がバカなことを言うからです」 彼は限りなく残念なモノを見る目で言った。 「とある事情で男として生活しているが、生物学上女だな」 「「………」」 目の前の少女は襟足の長い髪を服の下から出して、紐で括りながら事も無げに言った。 「聞いといてアレだが、…お前それ言ってもいいのかよ」 「構わない。見られた以上、隠せないだろ」 闇色の少年は気まずそうに聞く。手足を組んでゆったりとした態度で言うレイチェル。 ← |