第二章 魔法学校と案内人



書店で教授と合流し、教科書その他をそろえてくれたと知った時には、流石に驚き恐縮のあまり「勉強頑張りますね」と口走ってしまった。
まあ、ほのかに口元が緩むレアな教授が見れたことで十分な報酬といえよう。一年の勉強など片手間で行えるだろうに、というエクリプスの呆れた口調のお小言は、都合よく聞かなかったことにした。


「さて、あとは杖だけですな」


制服やら教科書やらを、購入した拡大呪文と重量不可呪文がかけられたトランクに詰め込み、ダーズリー家のハリーの部屋に送ってもらった。

教授は彼女を見下ろしながら、にやりと笑いさっそうと歩きだした。
思わず、ドキッとしてしまった。彼の児童書で書いてあった彼の片鱗を、このときはじめて垣間見たのだった。

はがれかかった金色の文字で扉に、オリバンダーの店―――紀元前三八二年創業高級杖メーカー、と書いてある。埃っぽいショーウィンドウには、色褪せた紫色のクッションに、杖が一本だけ置かれていた。


「いらっしゃいませ」


整然と積まれた何千という細長い箱の山に見とれていると、柔らかな声が聞こえてレイチェルは視線をカウンターへと向けた。
カウンターには老人が立っていた。大きな薄い色の目が、二つの月のように輝いている。


「今日は珍しいお客さんが多いのう。スネイプ教授お久しぶりですな」
「ああ。して、珍しい客とは?」
「先ほど、ポッター家の少女がハグリットに連れられて杖を買っていったよ。柊と不死鳥の羽、二十八センチ良質でしなやか」


教授の眉間にはぎっちりと深いしわが刻まれた。


「教授」
「っああ、すまない。Mr.オリバンダー、今日はこの子の杖を買いに来たのだ」
「おお、これはすみません。それでは、こちらへ坊ちゃん」


ここでもちゃんと男に見えているようで何よりだ。男装も、年を取って女性らしい体になればなるほど、男装は難しくなる。

ゆっくりと近づき、言われるままに利き腕を差し出した。それから何本という杖を試すも見つからず、オリバンダー翁が瞳を輝かせると対称的にセブルスとレイチェルの機嫌はだんだんと下がっていく。

試した杖のほとんどが握る前に逃げ出しては、気分も悪くなるというもの。



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