第二章 魔法学校と案内人



その日のうちに、レイチェルはスネイプ教授とともにロンドンまで外出した。
バーノンへの説明はペチュニアが引き受けてくれた。ありがたいことである。
姿現しなるものでロンドンにあるダイアゴン横丁についた二人と一匹。言わずと知れたレイチェル、スネイプ教授、エクリプスのことである。


「ここがダイアゴン横丁だ。マグルの世界側からは漏れ鍋というパブからたどり着ける」
「すごい…」


鍋屋、ふくろう百貨店、薬問屋、箒のショーウィンドウの店もある。ぐるりとあたりを見回して、今一度教授を見上げる。


「俺、金持ってませんが、最初はどこに行くんですか?」


レイチェルは傍らの真っ黒な男を見上げて聞く。


「その心配はいらん。お前の両親の金がある。まずはグリンゴッツで金をおろす」
「グリンゴッツ?」
「子鬼が経営する銀行のことだ」
「へえ」


人ごみの中、おいて行かれないように必死に彼の後を追いかける。
マントの店、望遠鏡の店、見たことのない不思議な銀の道具を売っている店ある。こうもりの脾臓やうなぎの目玉の樽をうずたかく積み上げたショーウィンドウ。いまにも崩れてきそうな呪文の本の山。羽ペンや羊皮紙、薬瓶、月球戯……。

小さな店の立ち並ぶ中、ひときわ高くそびえる真っ白な建物があった。磨き上げられたブロンズ製の観音開きの扉の両わきに真紅と金色の制服を着て立っているのは……。


「あの」
「何かね?」
「彼らが?」


スネイプのローブを少し引き、視線で彼らのほうを見る。


「さよう。あれが子鬼だ」

子鬼はレイチェルより頭一つ小さい。浅黒い賢そうな顔つきに、先の尖った顎ひげ、それに、なんと手と足の先が長いこと。二番目の扉には何か言葉が刻まれている。



見知らぬ者よ 入るがよい
欲のむくいを 知るがよい
奪うばかりで 稼がぬものは
やがてはつけを 払うべし
おのれのものに あらざる宝
わが床下に 求める者よ
盗人よ 気をつけよ
宝のほかに 潜むものあり



扉の向こうでは百人を超える子鬼が細長いカウンターの向こう側で、脚高の丸椅子に座り、大きな帳簿に書き込みをしたり、真鍮の秤でコインの重さを計ったり、片メガネで宝石を吟味したりしていた。一行はカウンターに近づいて鍵を開けるように言った。

トロッコに乗り、金貨銀貨銅貨を取り、戻ってきたときにはレイチェルは足元が少し覚束なかった。



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