「う、わびっくりした。何だ財前か」
「何すか、それ」
「いやいや。気悪くしたならごめん」
「別に。なまえさんごときで 何ともないっすわ」
「何だお前可愛くないわね」
「それより、それ」
「え?」
「何 聞いてたんすか」
「ああ、これ?ビートルズ」
「え、先輩洋楽聞くんすか」
「えーあー、その 財前 この前聞いてたでしょ?だから、どんなのかなーって」
「へえー」
「何よその顔。あ、さては嬉しいな?」
「はっ」
「…鼻で笑わなくても」
「いやいや」
「あ、この曲 聴いたことある」
「え、どれすか」
「ん、イヤホン いる?」
「…ありがとっす」
「ね、これCMの曲だったっけ」
「ああ、そうですね。携帯のCM」
「なんて言ってんだ、これ。おーにーじいず?」
「All you need is love」
「え」
「…何すか」
「何か今の、かっこよかった。もっかい言って」
「…アホ」


何も叩くことないじゃないか。だけど、イヤホンを片方ずつ耳に入れて一緒に聞く、というのが案外楽しかったので、今日だけは許してあげることにした。
そのまま、二人で手を繋いで帰った。
夕焼けが、財前の白いシャツに映えて 綺麗に光っていた。眩しい。
「こういう夕焼けの日って、ビートルズ聞きたくなるよね」と言ったら、財前が「分かります、それ」と言ってくれたから、嬉しかった。

家に帰って、さっきの財前が言った英語の訳を調べたら、もっと嬉しくなった。


***
会話だけの小説にトライと思ったけど、駄目でした。
夕焼けの日は、ビートルズ聞きたくなりますなんとなく。
財前はイギリスのインディーズが好きみたいなので、きっと聞くだろうと。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -