「最近、なまえって可愛くなったよな」
「あ、それ俺も思った」

まじで?

正直な感想。聞いたとき、本当にそう思ったのだ。
それにしても、最近こういう発言をクラス内でよく聞く気がする。男子達が最近うるさいのだ。
いやいや、ないだろ ないない。
思わず頭を抱えた。
まさか、なまえがもて始めるとは。全く予想外のことだった。くそ、このオレとしたことが失態だった。

確かに、可愛いとは思う。
だけど、そう思ってたのはオレだけでなくって、他の奴らも思ってただなんて。
自分だけ知っているつもりだった。
彼女の良いところも、全部、全て自分だけが と。
だけども本当に今更なのだが、それは自分だけではなくって、周りの奴らにも見えていたのは当たり前だ。
くそ、思わず垂れた冷や汗を 拭いた。


「グリーン!」

そんなオレの心中を知ってか知らずか、なまえがいきなり背後からオレの肩に手を置いた。
思わず、「おわ!?」とか 我ながら情けない声を出してしまった。くそ、かっこわりい。
それになまえは「え、グリーンのびびりー」とか笑ってみせる。
いや、オレは決してびびりとかそういった類ではない。
これでも女子にはもてるし、イケメンだし(そう言ったらこの前レッドに暫く引かれた)。
少なくともなまえにだけ驚くしびびるんだよ、と心の中で漏らすも 決して口にはしない。
だけども、彼女の笑顔が見れたから良しとしようか、なんて。
嗚呼、なんて我ながら単純明快であろうか。

「な んだよ」
「英Uの宿題、み せ て?」
「…なんだよ、その顔」
「いいじゃーん、見せてよー」

敢えて効果音をつけるとしたら、多分こうだろう。
キラキラー、とか。お願い!そう言って上目遣いでなまえが上目遣いでオレを見るのは まあ、何となく良かったので、ノートを渡した。
本当は他の奴にはこんなことしないけど。
まあ、それも決して口にはせずに 心の中に閉まっておくとする。


「ありがとー!!まじで助かる!」
「おう、感謝しとけよな」
「あの先生、宿題忘れたら怖いしさー」
「だったらちゃんと家でやってこい」

そうペチン、となまえのおでこを叩くと、彼女の顔はみるみる赤くなっていき。
え、な 何だ。オレ、何かしたか。
どうしたんだよ、顔 赤いぞ。そう聞くと なまえは慌ててそっぽを向き、「何でもない!」と笑って答える。


「あ!あとね、この前のノート。数学の。ありがとね」
「そういえば貸してたな。…というかなまえ、お前どれだけオレに借りてんだよ」
「あは」
「ったく、ちったあ自分でやれよ…」

オレが頭を抱えると、なまえはオレの背中に顔を埋め。
あまりにもいきなりで、突然のことで、驚いて「な、なんだよ!?」とか思わず声を上ずらせてしまった。
ああ、全くオレは君の前ではどうしようも格好つかない。


「いつも、借りるのはね、グリーンと話がしたいだけなんだよ」

そう言ってから、なまえはオレにそのノートを渡してから、


「なんて言ったら、グリーン どんな顔する?」


そう笑って、走って自分の席についてしまった。
追いかけたかったけども、話したかったけども。そこで休み時間修了のチャイムが鳴り響き、オレはただただ驚いてそこから立てずにいた。

ただそこに残ったのは、なまえの甘いような香りと、顔を真っ赤にさせた もぬけの殻のオレだけで。
鼓動が、波打つ。心音が驚く程に大きくて、もう自分自身が心臓になったみたいだ。
あまりにも五月蝿いそれだから、何か気を紛らわせようと 机の上のシャーペンを意味もなくカチカチとノックした。

カチカチ、カチ

早く、どうか 早く授業が終わればいい。
そして彼女のところに行って、思い切り抱き締めてやることにしよう。
それで、他の奴らに彼女はオレのだって言ってやろう。
脳内では、彼女の笑顔が言葉が、焼きついては離れない。
それを刻み付けるかのように、シャーペンをノックする。

カチ、カチ

こんなに休み時間が待ち遠しいのは、初めてかもしれない。

脳内桃色
(授業なんて、一個も頭に入らなかった)


***
ゆかさんに捧げます!グリーンで学パロとのことでした!
学パロいいですよね!おいしいですよね!私も大好きです!けど書くのは何で こうも難しいのでしょう..!
何だかグリーン視点にするとどうも格好つかないグリーンになる..!
ゆかさん!この度はリクエストありがとうございました!
沢山の愛をこめて
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