「グリーン」
「お、なまえ」

グリーンの部屋のドアを開くと、彼は私を見ては 自分の隣をポンポンと叩き、「座れよ」と。
それに甘えて隣に座る。グリーンの匂いが近づいて私の鼻をくすぐった。少しだけ、甘い。

隣に座って、なんとなくグリーンの横顔をみた。
しゅっとしてて、綺麗な顔立ちだ。今更ながら、こいつ やっぱりかっこいいな。実感する。
そう思ってから、少し変態くさいかも と慌ててその考えを頭の中から消去した。


「あ、いいなそれ。おいしいよね」


グリーンの飲んでいたジュースを指差して言った。
サイコソーダだ。昔から私も好きなやつ。
いいな、ずるい、私も飲みたーい。それちょうだいよ。
ほんの、冗談のつもりで言ってみた。
だけどグリーンは、自分の飲んでいた そのサイコソーダのペットボトルを私に差し出し、「ほらよ」と。

まさかまさか、自分の飲んでいたのを差し出されるとは思っていなかったから、さすがに戸惑った。
だって、これ、いわゆる間接キスというやつでは。
暫く固まってたけども、グリーンの表情が あまりにも何てことないようなそれだったので、受け取り飲んだ。

少し、甘く感じた。
味なんて、全然分からなかった。


「…あ りがと」
「…まさか本当に飲むとはな」
「ええ?!だって、グリーンが、渡して」

驚いた表情で私を見つめるグリーン。
それに慌てて反論するも、グリーンは何故かニヨニヨと笑い。
くそ、恥ずかしい。みるみる赤くなっていく顔を見られたくなくって、思わず逸らした。


「…これってサ、あれだよな。間接キス、ってやつ?」

グリーンはサイコソーダを眺めながら、何故か満足そうな笑みを浮かべる。
これはどういう反応なんだ。
グリーンがちっとも分からない。
すると、グリーンはもう一度そのサイコソーダを飲んでは また笑い。


「うん。なまえの味がする」


まさかの台詞に、逸らしていた顔を 思いっきり向けてしまった。
そして、「はあ?!」と。
否、でも 無理はないだろう。
だって、そんな、なんて発言。大胆にもほどがあるだろう。
思わず心臓がドクドクと高鳴る。
無理はない。こんなの、反則だ。不可抗力だ。


「…何か グリーンエロい」
「何だよ、それ!」
「だってそれ、本当 訳分かんないもう…!」

私が必死に言うと、グリーンはもう一度満足そうに笑い、「なまえ、本当かわいいなお前」と。
ああ、もう。
また頬が赤くなる。本当にこの男は私をどれ位掻き乱せば、心を奪えば気が済むのだろう。


「…何なのよ、これ。もう」


私がそう言うと、グリーンは「教えてやるよ」と言い。
何だか彼にしてやられてばっかりだ、と口を尖らせては そっぽを向いていると、グリーンの方を無理やり振り向かされて。

なに、と言うと 無理やり 私の唇に彼の唇を重ねられた。
え、これは な に。
いきなりのことで何が何だか、理解できない。
だけども苦しくなる呼吸と、目の前にある綺麗な彼の顔でようやく理解する。
まさか、これって。キスだろうか。そう考えると、もう一度私の頬が熱くなっていくのを感じた。

だんだんに呼吸が出来ないのが苦しくなってきて、思わずグリーンの肩を叩くと ようやく離れた。
慌てて、なに!?と聞くと、


「これって、愛じゃね?」


不覚にも、そう言って笑う彼に心を奪われた。
心の中で、ズガン と何かに撃たれたような、そんな衝撃。
我ながら単純、ありえない。そう思った。
だけども、悪くもない。そうも思った。

初めてのキスは、炭酸風味だった。
胸が、焼けそうなほどに甘い。


イン ザ ラヴ!
(やっぱり愛かも)


***
侑季さんへ!
グリーン甘めとのリクエストでした。
しかし、あまり甘くない..?あれれ?
すみません..
この度はリクエストありがとうございました!
たっくさんの愛を込めて。
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