最近、私の幼馴染 もといグリーンの様子がどうもおかしい。
昔はあんなに仲良くって、しょっちゅう一緒にいた。
あんなに笑って、楽しくって。
だけども、最近のグリーンときたら、本当にそっけない。
私にたいしても冷たいし、目もあわせてくれないときがある。
どうしてだろう。
私はただただ昔みたいに一緒にいたいだけなのに。


「…グリーンー」
「……」
「ちょっと、はやい ってば!」

私が後ろから言うも、グリーンは止まってくれない。
久しぶりに一緒に遊びに歩いているのに、グリーンははやく歩いてしまい。
せっかく。久しぶりに。
グリーンの早歩きについていこうとすると、そこら辺の石に躓いて、転んだ。
痛い。足が、じんじんする。


「ったー…」
「おい、なまえ 大丈夫か?!」

グリーンは慌てて私の方に駆け寄り。
心配そうな顔をして、私の方を見てくれるのが 何だか嬉しかった。(内緒、だけどね)


「だ いじょうぶ…あだっ」
「…足、ひねったのか?」
「そう みたい です」

私が苦笑いで言うと、グリーンは折りたたみ自転車を組み立て。
そして、後ろをポンッと叩き、「後ろ、乗れよ」と。
言われるがままに後ろに座り、グリーンが乗り こぐ。
何だか恥ずかしかったから、思わず背中を向けて座った。


「…悪かったな」
「何 が?」
「先に歩いて」
「あ、いや…」

あれ、こいつの背中 こんなに広かったっけ。
もたれかかっても、それは崩れなくって逞しかった。
昔は同じくらいだった身長も、いつのまにか抜かされてた。
ああ、そうだ。気がつけばこんなにも私達は違っていたんだ。

そう感じると、何か急にドキドキと胸が鳴るのが 聞こえ始めた。
やばい、何だこれ。こんな感情を、私は 生まれてから 知らない。


「でもグリーン無理しなくていいよ」
「はあ?」

背中越しのグリーンに言うと、何とも抜けた返事が返ってきた。
それに私は、

「私が嫌いなら、無理して一緒いなくても、いーよ」

あれ、今度は胸が、しくしくと痛む。
苦しい。息が、あまり上手くできない。何だろう、今日は生まれてから感じたことのない感情が溢れる日だなあ。

グリーンは私が嫌いだから、最近そっけないんだ。
だから、私に冷たくして。だけど優しい彼だから、突き放せずに私に居てくれるのだなあ、と。

ああ、胸が。どうしても痛んだ。
なんで私はこんなに苦しいの。
なんでこんなにも、痛むの。


「…ばっかじゃねーの!」
「えええ?」

背中越しのグリーンは、自転車を漕ぐことをやめて、私に振り返る。
あまりにも唐突なそれだから、私は驚いてしまって。
突然で、自転車はキキイッとか鈍い音を発ててブレーキをかけた。


「オレは、なまえのこと、別に嫌いなんかじゃねえよ。そんな訳、ねーだろ」
「そ、そうなの?」
「本当、馬鹿じゃねーの、この早とちり」
「だって、分からないよ」

そう、分からない。
だって、どうしてそんなに冷たいのに。
こんなに、そっけなかった。冷たかった。
だからてっきり嫌われたのかと。

だけど、どうしてなの。
どうして、この人の私を見る瞳は こんなに優しいの。



「…オレは、別に、お前なんか嫌いじゃねーからな」
「…ほん とう?」
「本当だ。その、あれだな、嫌いになるなんか、あの、ありえねーから」

夜空が、綺麗だ。
星が綺麗に瞬く。
さっきまで暗くて怖くて仕方なかったんだけど、今ではすっかり綺麗に見える。
ああ、多分 グリーンと居るからだな、と。
そうだ、彼と居て見る景色は世界は、こんなにも眩しく美しく、尊く輝く。


「…オレは、いつだって、その、なまえの味方だ」


そうだ。いつだって。
昔からずっと、彼は私が困ったりしたときに、一番に駆けつけてくれる。
一番に私を助けてくれる人で。
ああ、どうして私は忘れていたんだろう。
いつだって彼は、私の味方だ。


「…そだね。グリーンは、ずっと私のヒーローだもんね」
「なっ、それは、その、ま、まあ 仕方なく、なってやるよ」
「…グリーン、顔 あかい」
「うるせえ」

グリーンはそう言うと、また自転車を漕ぎ出し。
背中を預けると、背中越しから、彼の鼓動が聞こえてきた。
ドクドク、
ああ、何よりも私を安心させてくれる、穏やかな音色だ。
私はそれに身を預けて、ゆっくりと瞳を閉じた。

言葉なんかにしなくたって、ゆっくり じんわりと、彼の思いが 伝わってくる気がした。
今日は、いい夢がみれそうだ。

背中越しインサイト
(必要なことなんて、きっとこの鼓動だけで十分)



***
白丸さんへ!ツンデレグリーン、とのリクエストでした!
ううーん、ツンデレって私も大好きなのですが、中々難しい..!
何とも残念な仕上がりに..申し訳ないです..
白丸さん、この度はリクエストありがとうございました!
沢山の愛をこめて。
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