「…なまえ」
「なまえ!」

そう私の名前を呼ぶ、二人。
一人は黒髪で無表情で、真っ直ぐに私を見つめる。端正な顔立ちで、思わずドキリとしてしまう。
もう一人は茶髪で明るく、何とも元気そう。その太陽のような笑顔に 私の頬まで緩んでしまう。

その 見かけも中身も正反対な二人。
この二人こそ、私の双子のお兄ちゃんなのである。


「…何、お兄ちゃん」

わざと冷たく聞いてみた。
そうでもしなければ すぐに流されてしまうからだ。
だって、この二人の私のお兄ちゃんは 全てにおいて完璧なのだ。
妹の私でさえ ドキリとしてしまう。私ばかりドキドキとしているのは何となく悔しいので、ここだけでも と冷たくしてみたのだ。
まあ、そんなこともすぐに無駄と化してしまうのだけれども。


「なまえ、最近グリーンとよく話してるよな?」
「そ、そんなのファイアお兄ちゃんには関係ないじゃん」
「関係あるっての。大アリだっつーの!」
「ちょっと、髪型崩れるからやめてよ!」

ファイアお兄ちゃんは、うらうら、とか言いながら 私の頭を撫で回し。(撫でるというよりは、ただ掻き回しているという表現の方が正しいかもしれない)
小さい頃からよくやられていた。
だけども もう子供じゃないんだからやめてほしい。


「…なまえ」
「きゃっ、ちょっと!レッドお兄ちゃんも!」
「気をつけて。なまえ鈍いから」
「わ、わかったから…は、離してもらえると 嬉しいな、なんて…」
「…嫌なの?」
「う」

レッドお兄ちゃんまで私の後ろから いきなり抱き締めてきた。
焦って拒否するも、レッドお兄ちゃんは 首を傾げて、私を見つめる。
そんな顔して見つめられると、妹とはいえ 思わずドキリとしてしまい。(だって、これは反則!)
困る私を見て、レッドお兄ちゃんは少しだけ 口角を上げて、笑った。
ああ、またからかわれたんだ!


「もう、私だってもう子供じゃないんだってば!」

そう思い切り反論(私の中では)するも、お兄ちゃん達は全く聞く素振りも見せず。
昔からそうだ。
昔から、二人は私より一枚上手だった。悔しい。
だけど、あまり私はそっちの方では賢くはないから、この二人に勝てることができない。


「…いつもお兄ちゃん達は ずるいよ」
「ずるい?」
「私ばっかり、振り回されてる」

私ばっかり。
そう溜息をついて言ってみせると、今度は私の右腕にファイアお兄ちゃん、左腕にレッドお兄ちゃんがしがみつき。
う、この体勢 動けない。
掴まれて 固まっていると横から、声がした。


「ずるいのはどっちだよ、バカなまえ」
「ファイアおにいちゃ、何 それ」

私が聞くと、ファイアお兄ちゃんは少し頬を赤らめながら ぶっきらぼうに答えた。
あれ、こんな表情 初めて見るかもしれない。
私がこんな表情にさせているのだろうか。


「…俺達は、いつもなまえに振り回されてるんだよ」
「レッド、お兄ちゃん?」

左にいるレッドお兄ちゃんを見ると、彼も同じように頬を赤らめていた。
いつも余裕な二人にあるまじきそれに、動揺を隠せない私。
だけど、嫌じゃなかった。
何だかそれを見たら、心に温かいものがじんわりと広がり 自然と頬が緩む。
何だろう、上手く言えないけれど、幸せな何かが私を包んでいる気がする。


「…お兄ちゃん」

そう言うと、「「何?」」と 声を揃えて私の顔を覗く 二人のお兄ちゃん。
その顔が見れるから、二人が私の腕を 強く掴んでは離さないから。
だから、私はきっと大丈夫だな、と思った。
ずっと、皆 この三人でいられるならば、きっと 大丈夫だと。
幸せは、永遠に無限に続いていくものだと。


「一緒にかえろう」



友達以上恋人以上
(過去から未来へ続く私達の関係)


**
一万企画!笹凪雪さんに捧げます。
レッドとファイアの双子の兄弟で妹ヒロイン、ということでした!*
何ともおいしいリクエストににやにやでした(^p^)←
無口なレッドお兄ちゃんに、明るいやんちゃなファイアお兄ちゃんな感じです。私のイメージですが..
このたびは リクエストありがとうございました!
沢山の愛をこめて。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -