「千鶴」 「はい、なんですか?」 「愛してるよ」 「はい、…えっ?あ、あの…」 夫婦になってから数年経つというのにこの慌てぶり 女房っていうより妻で 妻っていうよりお嫁さんで お嫁さんっていうより恋人みたい 僕はずいぶん我が儘になっちゃったみたいだ 前はね、君を守れるなら死んでもいいや、って 近藤さんのときと同じ気持ちを持ってたんだよ でも違った 違ったんだよ 君とずっと生きていきたい、なんて。 「あの…総司さん、私も…愛してます」 「うーん…うん、知ってる」 にこり、意地悪く微笑むと千鶴は目を見開いて「もう!」と唇をとがらせた 嬉しいんだけどね、 愛おしくても可愛くても大切にしたくても、やっぱり君を困らせたいんだよ 君がため 惜しからざりし命さへ 長くもがなと 思ひけるかな 藤原義孝 20110404 企画サイト「恋、募る」さまに提出 口語訳:君のためだったら、死んでもいいって思ってた。でも今は、もっと、ずっと、君と一緒に生きたいって思ってる |